1974年のインドの核実験を受け、核不拡散政策を強化したカーター米政権が77年、日本の外交当局に対し、日本が導入してきた軽水炉から出る使用済み燃料を再処理した「原子炉級プルトニウム」でも核兵器は製造できるとの見解を伝達していたことが30日公開の外交文書から分かった。
日本の原子力界は長年「原子炉級プルトニウムは爆弾にするには非常に具合が悪い」(今井隆吉・元原子力委員会参与)としてきたが、米国が早くから日本の原子力ムラの「通説」を否定していたことが判明した。米国は当時、東海再処理工場(茨城県)の稼働に反対しており、その背景を物語っている。
77年2月23日付の東郷文彦駐米大使の公電によると、米軍備管理軍縮局の当局者は日本の在オーストリア大使館員に対し「あまり公言したくないが、原子炉級プルトニウムでは爆弾はできないという通説は誤りである」と言明した。
さらに当局者は、核燃料の燃焼度を上げた軽水炉で生成したプルトニウムが、純度の高い兵器級プルトニウムよりも「爆発力などに対する信頼度が低い」としながらも、「核兵器はできないかと聞かれれば、できると言わざるを得ない」と説明。70年代半ばに韓国が再処理施設購入に動いた際には「米国が影響力を行使して放棄」させたとも語った。
資源小国の日本は50年代後半から、使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムを再利用する核燃料サイクルを推進、東海再処理工場の建設を進めた。これに対し、カーター政権はプルトニウムだけを取り出すことに反対するが、最終的に再処理量に上限を設けて稼働を認めた。〔共同〕
東郷文彦、プルトニウム
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