米財務省為替報告が独の輸出依存を批判、「世界経済にデフレバイアス」
[ワシントン 30日 ロイター] - 米財務省は30日、為替報告書を発表し、ドイツの輸出依存度の高さが欧州経済の安定を阻害し、世界経済に悪影響を及ぼしているとの認識を示した。
中国の為替操作国認定は見送られた。
日本については、日本の経済政策で内需を拡大できるか注視していると指摘。日銀の積極的な金融緩和で円安が進行したことについては、日本は他国同様、通貨安を目標にしないことを公約しているとし、「そうしたコミットメントを維持することが重要だ」と指摘した。
報告書は、ドイツなど輸出依存度の高いユーロ圏諸国に対し、国内経済の拡大にさらに注力して、欧州経済の安定度を高めるべきだと主張。「ドイツの内需の伸び悩みと輸出依存が(ユーロ圏経済の)リバランスを妨げている」とし、「この結果、ユーロ圏と世界経済にデフレバイアスが生じている」と指摘した。
為替報告書はこれまで中国の為替政策を批判することが多かったが、今回は中国よりもドイツに対する批判が目立った。
たとえば、報告書は2012年のドイツのモノ・サービス・資本の純輸出が、中国の同輸出を上回ったと指摘。報告書では世界経済の安定化に必要な対策が列挙されているが、ドイツに対する注文が目立った。
米独関係をめぐっては、米情報機関によるメルケル独首相の電話盗聴疑惑が浮上、ドイツ政府が米国に担当者を派遣し、説明を求める事態となっている。
エコノミストの間では、ドイツの内需が拡大すれば、経済危機に苦しむ南欧の輸出が伸びるとの見方が出ている。
中国については、同国が今年大量の外貨を購入しており、人民元が「大幅に過小評価」されていることが浮き彫りになったとしながらも、為替操作国の認定は見送った。
最近の元高は「米経済にとって良いこと」とも指摘。中国に対して、元高ペースを加速させることも求めた。
韓国については「特別な場合」を除き、為替介入を控えるべきだと主張。為替の特定の水準を目標にすべきではないとの認識を示した。
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