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情報を守る―盗聴国家の言いなりか

いまの世界でまず守らなければならない情報とは、何だろうか。政府の秘密か、それとも市民の個人情報か。米政府による世界規模の盗聴や情報収集に批判が高まっている。その底知れな[記事全文]

保育での急死―防げるのに防げてない

保育施設で子どもが死亡する事故が絶えない。厚生労働省への報告によると、11年に14件、12年は18件だった。子を突然失った親が「なぜ」と疑問を抱くのは当然だ。だが、事故[記事全文]

情報を守る―盗聴国家の言いなりか

 いまの世界でまず守らなければならない情報とは、何だろうか。政府の秘密か、それとも市民の個人情報か。

 米政府による世界規模の盗聴や情報収集に批判が高まっている。その底知れない広がりに驚いた国際社会では、市民の情報を守る動きが加速している。

 欧州連合(EU)はグーグルなど外国企業に、個人情報の勝手な流用を許さないルールづくりに力を入れる。

 国連では、ネット上の個人プライバシーの保護を、国際人権規約に照らして確認する総会決議案の検討が始まった。

 いずれも、だれかが勝手に個人の情報を盗んだり記録したりするのを防ごうとする危機感から生まれた国際潮流だ。

 ところが日本では、論議が逆の方向に動いている。政府が米国からもらう断片情報を守るために、公務員や市民ら自国民の監視を強めようとしている。

 特定秘密保護法案である。スパイ疑惑の当事者である米政府の求めに従って、日本人に秘密の厳守を義務づけ、重罰を設けようというのだ。

 世界の潮流に逆行しているといわざるをえない。

 米国の軍事機関のひとつである国家安全保障局による膨大な情報吸い上げの疑惑は連日、各国で報じられている。

 ドイツのメルケル首相は私用の携帯電話を長年盗聴されていた。35カ国の首脳の電話が盗み聞きされているという。フランスやスペインでは1カ月に市民の数千万のメールや電話が傍受され、ブラジルでは国営石油企業の通信など産業情報も盗まれていた疑いがある。

 そこから露呈したのは、ほぼ独占しているネット技術などを駆使する米国の身勝手さだ。外交の看板に民主主義や自由をうたう一方、実際は自国の国益を最大限追求し、同盟国さえも広く深く盗聴するという寒々しい現実がさらけだされた。

 日本政府がそのさなかに米国情報の保護を優先し、日本社会の「知る権利」を削るならば、あまりに理不尽である。

 ドイツとフランスは、EUと米国との自由貿易交渉でも、諜報(ちょうほう)活動の釈明を求めるなど攻勢を強める構えでいる。

 いま情報保護のために矛先を向ける相手は自国民ではなく、米政府であるのは明らかだ。

 安倍政権がやるべきことは、日本の市民のプライバシーが侵されていないかを確認し、個人情報を守る国際規範づくりに率先して参画することだろう。それこそ積極的平和主義と呼ぶにふさわしい行動だ。

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保育での急死―防げるのに防げてない

 保育施設で子どもが死亡する事故が絶えない。厚生労働省への報告によると、11年に14件、12年は18件だった。

 子を突然失った親が「なぜ」と疑問を抱くのは当然だ。だが、事故原因を究明し、明らかにする公的な制度はない。警察が捜査するのもまれだ。

 遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」は厚労省への報告を情報公開請求した。白玉で窒息死する事故が昨年だけで2件あり、どちらも刻んでいない状態だった。初めて施設に預けられた子が数時間後に息絶える事故も3件あったが、いずれも理由ははっきりしない。

 原因が十分に調査されず、教訓も公にされないため、同じような事故が繰り返されている、と遺族らは憤る。

 検証の実例はある。

 愛知県碧南(へきなん)市の認可保育所で3年前、1歳の栗並寛也(くりなみひろや)ちゃんがおやつでのどを詰まらせ、39日後に亡くなった。国の基準を超える多くの子を預かっていたのが背景では、とする両親の訴えを受け、県と市は1年7カ月後、有識者委員会で検証した。

 報告書は、保育所の態勢不備や市の事故対応の鈍さを指摘し、今後は行政が原因究明にすみやかに取り組むよう求めた。

 報告後、県は事故対応を定めた指針をつくった。それに先立ち、0〜1歳児1人あたりの面積基準も国より広げた。

 母のえみさんは「遺族が前を向いて生きるためにも必要だ」と検証の必要性を強調する。

 子は思いがけない行動をとることがあり、事故の危険をどう減らすかがカギとなる。保育所のニーズが高まる一方、現場の人手不足も深刻になっている。

 だからこそ、起きてしまった事故から教訓を引き出し、再発を防ぐ仕組みを整えるべきだ。

 15年度から、保育制度が大きく変わる。詳細を検討する政府の子ども・子育て会議では、事故検証の制度化も議論されている。ぜひ実現してもらいたい。

 厚労省は今年3月、認可保育所に関し、保育実施主体の市町村の責任で事故を検証するよう求めたが、義務ではない。

 しかも死亡例は認可外のほうが多い傾向がある。認可の有無を問わず、施設の監督権限を持つ都道府県や政令指定・中核市に検証させるほうがよいのではないか。具体的な進め方について、国は指針を示すべきだ。

 保育施設で過ごす子は240万人ほどいる。年々増え、就学前の3人に1人を超す。

 早すぎた死を「不幸な事故」で終わらせない。それが、安全を高める何よりの道である。

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