韓国人被爆者:手帳交付請求を棄却 長崎地裁判決
毎日新聞 2013年10月29日 13時35分
長崎原爆で被爆したとして韓国人の郭豊子(カク・プンジャ)さん(74)が長崎市に被爆者健康手帳の却下処分取り消しを求めた訴訟で、長崎地裁(井田宏裁判長)は29日、郭さんの請求を棄却する判決を言い渡した。郭さんは被爆事実を証明する「証人」がおらず、本人の証言の信用性が争点だった。
同地裁で韓国人被爆者が同市に手帳交付を求めた一連の訴訟の判決は3件目。2012年9月、男性被爆者(当時82歳)が勝訴したが、男性が判決前に死亡していたため、市側が控訴。今年7月にも男性(68)が勝訴し、確定した。原告敗訴は初めてで、判断が分かれた。
訴状などによると、郭さんは6歳の時、同市浜平町の疎開先の借家で被爆したと主張。11年5月に手帳交付を申請したが、国は「第三者2人以上の証明」などを交付条件としており、同市は「申請内容を証明する人がいないため確認できない」などとして却下した。郭さんは同年12月、姉の福南(ポクナム)さんとともに提訴。福南さんは12年7月に83歳で死亡した。
市は、郭さんが被爆当時に住んでいたと主張する家には別世帯が住んでいたなどとして、請求棄却を求めていた。【樋口岳大】