【河原夏季】埼玉県狭山市で女子高校生(当時16)が殺害された「狭山事件」から今年で50年。冤罪(えんざい)を訴え続ける男性とその妻の日常を描いた映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」が完成した。監督は「事件を知らない人にも、夫婦の物語として見てほしい」と話している。

 「殺人犯というレッテルを張られたままで苦しんでおります」。冒頭の一シーン。東京高裁前で石川一雄さん(74)=仮釈放中=は訴える。

 1963年6月、女子高校生殺害の疑いで逮捕され最高裁で無期懲役が確定した。94年に仮釈放されて以降、石川さんは自身の潔白を主張し、全国を巡る。現在は第3次再審請求中だ。冒頭シーンとおなじ演説は今も、高裁前で続く。