「限界集落」は都市を捨てた若者たちの住処となる:ローカル・ハイパーノマドの台頭

2013/10/31


糸島に行って考えたこと第6弾くらいの記事。いやー、いい旅でした。


「限界集落」は若者の住処になる

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「糸島シェアハウス」がある地区は、いわゆる「限界集落(人口の5割以上が65歳以上の集落)」だそうで。確かに、周囲は古民家ばかり。彼らも、地区にあった古民家を修繕しながら生活しています。

移住事情に詳しいMさんに聞いたところ、地方での空家率は年々上がっており、数年内には20%に達するとか。10軒中2軒が空家というのは、何だかすごい話です。都内ではまともに家賃を払えず脱法ハウスに住んでいる人もいるというのに…。

インターネットビジネスの人間としては、空家の需給を上手くマッチングさせればいいんじゃね?と思ってしまいますが、話はそう簡単ではないそうです。こちらの記事が詳しいですね。

渡井さんは「見ず知らずの人に売ったり貸したりすることに不安を感じている家主も多い。単なる物件仲介ではなく、入居後までサポートする体制を整えることで、所有者側の動きも後押ししたい」と話す。

 住宅は余っている。住みたい人もいる。それなのに両者がつながらない──需給のミスマッチを橋渡しするには、ていねいな掘り起こしと、生活面まで含めたきめ細かな後押しが欠かせない。

空き家が足りない!空き家率No1山梨県のなぜ?|日経BP社 ケンプラッツ


とはいえ、このマッチングの難しさは、過渡期的な課題なのでしょう。

時代の流れは加速していき、空家率が30〜40%ともなれば「見ず知らずの人に売ったり貸したりすることに不安を感じている」なんて話も少なくなってくるはずです。実際、ぼくの知っている範囲でも、空家を譲ってもらう、貸してもらうという流れは加速しています。


地方の空家の流動性が高まっていけば、そこに住みたいと願う人々、特に都市の生活にうんざりした若者(ぼくのような…)たちが、じわじわと移住していくようになるでしょう。ちょうど「糸島シェアハウス」のように、誰も住まなくなった古民家を若者たちがリノベーションして、そこに住まうというわけです。

「どこでも稼げる」ノマドワーカーたちが増えていけば、なおさらこの流れは加速するはずです。最近はLCCのお陰で交通費も安いですから、都市との距離も近くなっています。月の3/4は限界集落で、1/4は都市で、という生活をする人は、着実に増えていくでしょう。彼らは地方と都市を渡り歩く、いわば「ローカル・ハイパーノマド」たちです。


そうやって妄想を膨らませていくと、今後は「都市の外に出ることができない」人々が、社会的に「下層」に位置づけられるようになるのではないか、とも感じてしまいます。

都市の力学にロックインされてしまい、そこでハムスターのように自転車をこぎ続けなくてはならない人々。毎日満員電車に乗って、終電で帰るような人たちが「山手線内を脱出することができないの…?大変だねぇ…」と、上から目線で見下されるような未来です。

未来においては、地方と都市の両方を生きることができる「ローカル・ハイパーノマド」の生活を送ることができる人々が、大衆の羨望を集め、有意義な人生を送る「上層」に位置づけられていくのでしょう。そういう時代の気分を、ぼくは嗅ぎ取ってしまっています。


ここでのポイントは、「都市と地方のハイブリッドである」ということです。どちらかだけではダメなんですね。やっぱり都市にも大きな価値がありますから。

もっとも、超ロングスパンで見れば、都市的な価値ですらも、地方で享受できるようになるとも思います(ヘッドセットを付けるだけで、東京のパーティにバーチャル・リアリティ的に参加できたり。「シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき」にそんな予測がありましたね)。


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