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【岐阜】死亡事故起きるなんて… 笠松競馬場から馬脱走
笠松競馬場(笠松町)で二十八日未明に逃げ出した競走馬一頭が軽乗用車に衝突し、男性運転手が死亡した事故。周辺住民だけではなく、経営が低迷する競馬場で働く関係者らにも動揺が広がった。 「馬が絡んだ死亡事故が、こんなところで起きるなんて…」 七十年以上の歴史がある競馬場近くで生まれ育った無職沢田勝太郎さん(71)は戸惑いを隠さない。「人命第一だから馬が逃げないように対策をとることが大事だと思う」と話し、「車の運転手も馬も気の毒だ」と悼んだ。 夫が笠松競馬場の調教師だという女性(62)は「亡くなった方に申し訳ない気持ちです」とうつむいた。夫は、逃げた馬の調教にはかかわっていなかった。だが競馬場は事実上の赤字で、存続に向けて関係者が努力している真っただ中だけにショックは大きいという。競馬場は来月五日から開催予定だが、「来週以降、開催されずに仕事がなくなるのではないかと心配です」とこぼした。 笠松競馬場は県と笠松町、岐南町でつくる県地方競馬組合が運営する公営競馬場。今年に入り競走馬が外部に逃げ出したのは四回目で、五月には施設の一部を改造し、馬が簡単に逃げ出さないように対策を講じたばかり。 管理者である笠松町の広江正明町長は「厳重な防止策を練ったつもりだったので残念。亡くなった方に申し訳ない」と陳謝し、「笠松競馬の存続に関わること。一から対策を考え直す」。副管理者の岐南町の松原秀安町長も「二度とこのような事故が起こらないよう、組合と協議したい」と述べた。 (佐久間博康) ◆「対策が不十分だった」県地方競馬組合の事務方の責任者である加藤謙治郎管理者代行(61)は二十八日午後、笠松競馬場で会見した。主なやりとりは次の通り。 −度重なる馬の脱走をなぜ防げなかったか。 今年は四月までに脱走が三回あり、門を高くしたり、異常を知らせる非常ボタンを設置したりした。十分な対策と思っていたが、結果的に不十分だった。 −調教時間中、門を開けたままにするのは危険だったのでは。 四百頭前後の馬が絶えず出入りする中で、一回一回開け閉めするのは現実的ではない。馬が逃げる危険性は分かっている。それを少しでも取り除く対策をしてきたつもりだ。 −今後、どのような防止策を講じるのか。 何らかの見直しは必要だが、具体的にはまだ考えていない。ただどうやっても人為的なミスは起きうる。騎手、調教師、職員を集めて会議を開き、一人一人が注意することの大事さを呼び掛けたい。 −事故の責任は誰にあると思うか。 今は申し上げられない。 (安部伸吾) PR情報
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