UPDATE 3-鉱工業生産は内需けん引で3期連続上昇、10─12月計画4%超も外需停滞で下振れも

2013年 10月 30日 10:47 JST
 
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[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日発表した9月鉱工業生産指数速報は、昨年5月以来の水準に回復した。国内で新車生産が好調だったほか、業績好調な金融機関向けコンピューターの生産が増加していることが寄与した。この結果、7─9月は3期連続の上昇となり、前年同期を5四半期ぶりに上回ったこともあって、経済産業省は生産判断を上方修正した。ただ、民間調査機関では力強さに欠けるとの見方も多い。外需停滞が足を引っ張っており、10─12月の生産計画が前期比4%超の増勢を見通しているものの、これほどの高い伸びは実現できないとみられている。

9月の生産は前月比1.5%上昇の98.5となり、暫定的に景気の「山」の直後に当たる昨年5月直後の水準まで回復した。上昇率はロイターの事前予測調査の1.8%をやや下回ったものの、底堅い回復となった。

主に内需向け生産がけん引している。最も寄与の大きかった輸送機械では国内の新車販売が好調だったほか、情報通信工業では久しぶりに金融機関向けの大型コンピューターの受注が寄与。従来の小型パソコン中心の生産から業務用の汎用・ミッドレンジコンピューターに生産がシフトした。自動車に次いで寄与が大きかった電子部品・デバイスでは、中国向けなどのタブレット端末の生産や大規模発電向けの太陽電池セルの生産が押し上げた。

この結果、7─9月の生産は3四半期連続の上昇となり、前年同期比では5四半期ぶりにプラスに浮上した。

先行き生産予測も10月は4.7%上昇、11月が同1.2%の低下となり、12月を横ばいと仮定すると、10─12月の指数水準は102を超え、前期比4%以上の上昇となる。ただ、経済産業省では10月の上昇がここまで高くなることは難しく、一般機械や情報通信機械の9月生産予定が10月にずれ込むなどの理由もあるため、割り引いてみる必要があるとしている。

それでも生産の足取りはしっかりしており、経済産業省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きで推移」に上方修正した。

市場では「輸送機械や電気機械などを中心に、巡航スピードの回復を確認した。在庫率の低下などを踏まえると、先行きに期待が持てる内容」(国内金融機関)との声が出ていた。

一方、民間エコノミストは、生産は消費増税を控えての駆け込み需要などを背景にこの先上昇傾向を続けるとみているが、輸出鈍化が鮮明となっている中で外需向け生産が増勢を削ぐとの見方が増えている。

農林中金総研・主席研究員の南武志氏も、海外経済の不透明さが懸念されるとして「生産は再び持ち直したものの、その勢いは緩やかなままで、加速感や力強さは感じられない」とみている。SMBCフレンド証券シニアマーケットエコノミストの岩下真理氏は「予測指数通りなら9月分の生産予定が10月に後ずれする業種が多い。ロイター短観でも示された外需面の不安は、はん用機械や電子デバイスには9月の実現率と10月予測修正率のマイナスが示している」と指摘する。

(ロイターニュース 中川泉;編集 山川薫)

 
 
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*統計に基づく世論調査ではありません。