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<JT>4工場閉鎖を発表 社員の2割1600人削減も

毎日新聞 10月30日(水)21時13分配信

<JT>4工場閉鎖を発表 社員の2割1600人削減も

たばこの国内販売量の推移

 日本たばこ産業(JT)は30日、国内9カ所にあるたばこ関連工場のうち、4カ所を閉鎖すると発表した。これに伴い本体社員の約2割にあたる1600人を削減する。国内のたばこ市場は、健康志向の高まりや増税の影響などで縮小。今後も先細りが予想されることから、生産体制を見直し、拡大が見込める海外たばこ事業などに投資を振り向ける。

 「たばこの消費増は予想できない。過剰な(生産)能力を抱えていた」。JTの佐伯明副社長は30日、記者会見で供給過剰の現状強調し、大規模な人員削減に理解を求めた。

 閉鎖する工場は、たばこを製造する郡山(福島県郡山市)、浜松(浜松市)と、葉タバコを加工する平塚(神奈川県平塚市)、フィルター部分を包む紙を印刷する岡山印刷(岡山市)の計4工場。平塚は2016年3月末、他3工場は15年3月末で閉鎖する。

 また、自動販売機の開発・製造部門を15年3月末で廃止し、他メーカーに委託。営業拠点も全国25支店から15支社体制に再編する。

 JTが大型リストラに踏み切るのは、国内たばこ市場の縮小に歯止めがかからないためだ。日本たばこ協会によると、12年度のたばこ販売量は1951億本で、ピークの1996年から44%も減少。今年の喫煙者率も20・9%と18年連続で減った。また、来年4月の消費増税では大半の銘柄を値上げする方針で、「たばこ離れ」が一層進む可能性がある。これまでもJT発足時に35カ所あった製造工場を順次減らしてきたが、「中長期的に安定経営を行うため、課題を先送りできない」(佐伯副社長)と判断した。

 今後は人口増加が見込める新興国など海外でのたばこ販売と商品開発に注力する。JTは99年に米たばこ・食品大手「RJRナビスコ」の米国以外のたばこ事業を買収したのを皮切りに、07年には英たばこ大手「ギャラハー」を約2兆2000億円で傘下に収めた。近年もスーダンやベルギー、エジプトのたばこ会社を相次いで買収している。

 JTの13年3月期の最終(当期)利益は3436億円と過去最高。14年3月期も最高益更新を見込む。国内市場が細る中、海外事業に加え、食品、医薬などたばこ以外の事業への投資を優先し、生き残りを図る構えだ。【神崎修一】

 ◇キーワード【日本たばこ産業】

 旧日本専売公社が民営化され、1985年に誕生した、たばこの製造・販売会社。国内たばこ販売の約6割を占める。94年に政府保有株の一部が売り出され、東証1部に上場した。政府が発行済み株式の50.01%を保有していたが、今年3月に東日本大震災の復興財源を確保するため一部を売却し、現在の保有割合は33.35%。

 全売上高に占める国内たばこの割合は約32%(13年3月期)。一方、07年に買収した英ギャラハーなどを抱える海外たばこ事業は約47%を占める。世界シェアは3位。このほか、缶コーヒー「ルーツ」などの飲料事業の割合は8.7%、テーブルマーク(旧加ト吉)などの加工食品事業は7.9%、医薬品事業は2.5%と、事業の多角化を図っている。

最終更新:10月31日(木)0時14分

毎日新聞

 
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