2013年9月24日、私の夫・高木一行が、大阪府水上警察によって逮捕・拘留され、以来、一度の面会はおろか、私信さえも許されることなく、今日(10月30日)までに至りました。現在、弁護士の方を通してやり取りする以外、夫とコミュニケーションをとる方法はありません。弁護士の先生によると、今のところ夫は、断食による体重の激減はあるものの、元気で快活に振る舞っているということです。
刑が確定したわけでもないのに、家族ですら一目会うことも、言葉を交わすことも許されず、蒸し暑く狭苦しい部屋で、複数の取調官から厳しい事情聴取を受け、時には耳元で怒鳴りつけられる・・・、取り調べの可視化がなかなか進まない日本の体制が問題になっていますが、これは、基本的人権の侵害にあたるのではないでしょうか。
夫は逮捕の日から今日まで、法の暴力に抗議するため、死を覚悟して断食を続けています。法的な理由から、逮捕・拘留に至る経緯はここに詳しく記せませんが、 時に精神的・肉体的暴力を加えられるなど、 人権無視の尋問を受けているそうです。留置室を1日中監視され何日間も睡眠を妨害されるなど、断食中の身には命取りとなりかねない状況の中で、文字通り命を削りながら、ノートとボールペンのみでヒーリング・ディスコースを今も記しています。
実は夫は、約半年前からこうした状況を予見し、私やヒーリング・ネットワークの友人たちに何度も繰り返し、今起こっている事態について語っていました。夫は自身に振りかかるであろう運命をすべて受け入れ、これは天命であり、宇宙からの要請なのだ、とも言っていました。
ただ友人たちを守ろうとする一心で、取り調べに対して黙秘を貫き通しています。黙秘権は基本的人権の1つですが、それを行使すると嫌がらせや脅しを受けるなど、日本の司法制度が中世なみと言われるのも、仕方がないと思います。
夫が1ヶ月以上何も口にしていないことが、警察側にとっても大きな問題となっているようですが、警察や検察の横暴が改まらない限り、夫のレジスタンスを止めることはできません。司法制度そのものに大きな問題があることが、今回の件で明らかとなりつつあります。逮捕・拘留されたといっても、被害者がいるわけでもなく、誰かに迷惑をかけたわけでもないのです。
「これは思想弾圧、宗教弾圧に匹敵する基本的人権に関わる人類の根本問題の1つであり、誰かがその弾圧の渦中にあって、問いを投げかけることが、今、求められている」、そのように夫は語っていました。
劣悪な環境の中、 絶食を続けながらも、 夫のヒーリング・アーティストとしての創作意欲は止むことなく、ノートや便箋に手書きした膨大な量の原稿が、弁護士の先生を通じて、今も私たちの元に次々と届けられています。
どんな状況下にあっても、楽しみを見出し、生命の叡知を人々と分かち合おうとする深い祈りは、決して陰ることがありません。
留置所内で一気に書き上げた、ヒーリング・ディスコース『ボニン・ブルー 小笠原巡礼:2013』、『ドルフィン・スイムD 利島巡礼:2013』の最終回付記に、今回の逮捕劇に関する若干の記事があります。
今後順次アップされる予定の『ヒーリング随感5』の第15回以降は、留置生活の折々に綴られた文章です。
罪に問われ、罪人として裁かれることをあえて選び、命を賭けてまで、夫が何を主張しようとしているのか、読み進んでいかれるうちに次第に明らかとなります。
『ボニン・ブルー』、『ドルフィン・スイム』と3部作をなす『一万回の「愛してる」を君に』は、私への私信という形式で書かれているため、現在「差し止め」となっていますが、夫が一計を案じ、法的な障害を回避する方法を発案したため、遠からず発表の日が訪れると思います。
私たちはこれまで、人類の、地球生命の繁栄を祈り、地球そのものをヒーリングするという意図の元、芸術作品や、ヒーリング・アーツの術[わざ]と叡知を、インターネット上で無償にて公開して参りました。
夫が逮捕されたことで、私たちの活動に背を向ける人々も多いことでしょう。「縁なき者をあらかじめ遠ざけることができて好都合だ」と夫は笑いました。
夫の人間性そのものをみてくださる方々。私たちのささやかな芸術活動の中に、真[まこと]を感じ取られ、世間の評判や社会常識に惑わされず、自分自身の判断に基づいて共感を覚えてくださる方々。そうした方々と、私たちはいやしのネットワーキングを結んでいきたいと強く希望いたします。
「今、1人1人の<声>を結集すれば、世界は大きく変わる」と夫は言い残し、悠然と「出かけ」ました。
2013.10.30 高木美佳