トルコ:安倍首相が原発輸出の合意歓迎
毎日新聞 2013年10月30日 11時17分(最終更新 10月30日 12時32分)
【イスタンブール(トルコ西部)宮島寛】トルコ訪問中の安倍晋三首相は29日夜(日本時間30日未明)、エルドアン首相とイスタンブールの首相府分室で会談した。これに先立ち、トルコ政府は、三菱重工業、伊藤忠商事などの企業連合体と原発建設受注で実質合意し、安倍首相は会談後の記者会見で「大変喜ばしい」と合意を歓迎する意向を表明した。
東京電力福島第1原発の事故発生以来、日本の原発輸出が実現するのは初めて。安倍首相が5月にトルコを訪問した際、日仏の企業連合が優先交渉権を獲得していた。トルコ議会の承認を経て、正式に契約を結ぶ。
安倍首相は共同記者会見で「福島第1原発の経験と教訓を世界で共有することにより、世界の原子力安全の向上を図っていくことは我が国の責務」と強調。そのうえで、「トルコなどの原子力協力を求める国に制度整備や人材育成の支援を通じ、安全確保を促す」と語った。
これに対し、エルドアン首相は「事故の危険性を無視してはいけないが、私たちは原発が必要だと信じており、進めていきたい」と応じた。
また、会談では、トルコに原発技術者を育成するための科学技術大学を両国協力の下で早期に設立することで合意。両首脳はこれらの内容を盛り込んだ共同宣言を発表した。
両国の経済連携協定(EPA)交渉については、エルドアン首相が会見で、「交渉も早期に開始したい」と述べ、来年1月にも同国経済人らを伴って日本を訪問し、協議を加速化する意向を表明した。
安倍首相は29日深夜(日本時間30日朝)、政府専用機で帰国の途についた。30日午後に帰国する。