作詞家の岩谷時子さん死去10月28日 16時45分
「恋のバカンス」や「君といつまでも」など、昭和を代表する多くのヒット曲を手がけた作詞家で文化功労者の岩谷時子さんが、今月25日、肺炎のため東京都内の病院で亡くなりました。
97歳でした。
岩谷さんは大正5年、今のソウル市で生まれ、宝塚歌劇団の出版部を経て、東宝で女優の越路吹雪さんのマネージャーを務めました。
昭和28年に越路さんが日劇のショーで歌ったシャンソンの名曲、「愛の讃歌」の歌詞の翻訳をきっかけに、訳詞や作詞をはじめ、昭和38年に作詞家として独立しました。
その後も、「サン・トワ・マミー」、「ラストダンスは私に」などの海外のヒット曲を親しみやすい訳詞で日本に浸透させたほか、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」、加山雄三さんの「君といつまでも」、岸洋子さんや坂本九さんらが歌った「夜明けの唄」、佐良直美さんの「いいじゃないの幸せならば」、それに郷ひろみさんの「男の子女の子」など、シャンソンから歌謡曲まで3000曲以上を世に送り出しました。
またミュージカルにも造詣(ぞうけい)が深く、「ジーザス・クライストスーパースター」、「レ・ミゼラブル」、「ミス・サイゴン」などの訳詞を手がけ、日本でのミュージカルの発展に貢献しました。
平成21年には音楽界やミュージカルで活躍する若い才能を応援するために「岩谷時子音楽文化振興財団」を設立し、こうした功績が認められてこの年、文化功労者に選ばれました。
岩谷さんは今月25日、肺炎のため東京都内の病院で亡くなりました。
関係者によりますと、葬儀は親族のみで行い、後日「偲ぶ会」を開く予定だということです。
大切な詩人を亡くして寂しい
岩谷時子さんが歌詞の翻訳を手がけたミュージカル「ミス・サイゴン」などに出演した俳優の市村正親さんは、「大切な大切な詩人を亡くして寂しい。『お時さん』って呼ぶと、はにかんだ笑顔は僕の宝物です。長い間、仕事をご一緒できて幸せでした。『コーちゃん』(越路吹雪さん)と2人で、天国で新しい歌を作ってください。僕はお時さんからいただいたたくさんのミュージカルの詞を、しっかり歌っていきます」と岩谷さんをしのぶコメントを出しました。
強烈なことばにも品とエレガンス
岩谷さんが作詞を手がけたヒット曲「恋の季節」でデビューした“ピンキーとキラーズ”の歌手、今陽子さんは「16歳の私に、こんな大人の歌詞を書いていただいたことがとても光栄でした。岩谷先生の世界の魅力は、女心を強烈に表したことばなのだけれど、そこに品とエレガンスがあるところです。岩谷先生からいただいた教えを大切にし、思いを新たにして、これからも努力していきたいと思います」とコメントを出しました。
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