【上海=土居倫之】中国人民銀行(中央銀行)がバブル阻止と市場安定の両立に苦慮している。短期金融市場の混乱を回避するため、人民銀は29日、半月ぶりに資金供給を再開した。中国ではカネ余りを背景とした住宅価格の上昇が続いており、金融政策のかじ取りは難しさを増している。
人民銀は29日の公開市場操作(オペ)で130億元(約2080億円)の資金を市場に供給した。オペによる資金供給は15日以来約半月ぶり。人民銀は24日まで毎週火・木曜日の定例オペで3回連続で資金を供給せず、指標となる上海銀行間取引金利(SHIBOR)翌日物が約4カ月ぶり水準まで上昇していた。
人民銀が資金供給を再開したのは6月末の混乱を再発させないため。6月末は短期金利が13%台まで上昇し、上海株が急落。世界的に中国経済への不安が高まった。人民銀の周小川総裁は「市場の安定を守る」としており、5年に1度の政策決定会議、共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)の11月開催を前に、混乱回避を優先した。
中国ではカネ余りによるバブル懸念がくすぶっている。米国の量的緩和第3弾(QE3)早期縮小観測が後退し、中国に様々なルートで投資資金が流入しているからだ。
国外からの資金流入などが影響し、中国のマネーサプライの伸び率は3月の全国人民代表大会で決定した13%増の目標を上回っている。6月末の中国の銀行の理財商品残高は昨年末比28%増と「影の銀行(シャドーバンキング)」の膨張も続いたままだ。
カネ余りで北京や上海では9月の新築住宅価格が前年同月比で20%超上昇。バブル再燃の懸念も高まっている。
29日のオペでは人民銀から銀行へ資金を貸し出すときの金利を従来より0.2%高い4.1%とした。貸出金利上昇を受けて市場では「人民銀の資金供給は市場を安定させることが狙いで、金融緩和の意図はない」との見方が出ている。
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