【北京=山田周平】中国・北京市の天安門前に車が突入・炎上した28日の事件は、少数民族であるウイグル族の関与が濃厚になってきた。中国では、共産党体制を通じた漢民族による支配に反発する少数民族も多く、独立運動や暴動の温床とされている。中国の民族問題はどのような事情があるのだろうか。
Q 中国の民族構成や少数民族政策は。
A 漢民族が約13億5000万人の総人口の92%を占め、共産党・政府の要職を固めている。政府は残る8%の中で、ウイグル族、チベット族、チワン族など55の少数民族を指定。西部の新疆ウイグル自治区など5つの自治区のほか、自治州を設けているが、実権は漢民族が握っている。
Q ウイグル族とはどんな民族か。
A 古代の交易路シルクロードが通っていた同自治区に住むトルコ系遊牧民を指す。総人口は約1100万人。イスラム教を信仰し、羊肉を使った料理を好むなど、漢民族とは文化や習慣が大きく異なる。
Q ウイグル族が漢民族の支配下に入った経緯は。
A ウイグル族は8世紀にウイグル王国を打ち立てるなど独自の歴史を持つ。しかし、清朝が18世紀に征服。「東トルキスタン・イスラム共和国」などとして独立宣言した時期もあるが、1949年に共産党軍が進駐し、支配下に入った。
Q 中国からの独立運動が活発化した理由は。
A 91年のソ連崩壊を機に、中央アジアでカザフスタン、ウズベキスタンなど同じトルコ系民族の国々が相次ぎ独立したのに触発された。一方で、米国が「東トルキスタン・イスラム運動」というウイグル族の組織をテロリストに指定するなど、イスラム過激派とのつながりも指摘される。
Q 他の少数民族の動きはどうか。
A チベット族の若者による焼身自殺が2009年から続き、今年初めには100人を超えた。中国語による授業の強要など、共産党の抑圧的な統治に抗議するためだ。約600万人のチベット族はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマを頂点とする宗教国家を築いていた。
しかし、共産党軍が1950年に進駐。ダライ・ラマ14世は59年に脱出し、インド北部ダラムサラに亡命政府を樹立した。亡命政府はチベット独立ではなく「高度な自治」を求めているが、中国は亡命政府を「分離独立主義者だ」と批判し、対話は止まっている。
Q 共産党政権はなぜ少数民族の動向に神経をとがらせるのか。
A 共産党は「ウイグル」「チベット」「台湾」の3地域の独立阻止を、絶対に譲ることのできない「核心的利益」と位置付ける。どれか1つの独立を認めれば民族運動の連鎖が起き、共産党政権の崩壊につながりかねないためだ。
Q 新疆ウイグル自治区は原油や天然ガスの埋蔵量が豊富だ。
A 中国石油天然気集団(CNPC)など漢民族が経営トップの国有石油大手が開発に当たっており、これもウイグル族が不満を抱く一因だ。しかし、経済成長で資源が慢性的に不足気味の中国は、エネルギー安全保障の観点からもウイグル族の独立を認めることができない。
ダライ・ラマ14世、ウイグル族
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