UBS、利益率目標の達成遅れる-当局が訴訟に備え資本増命令
10月29日(ブルームバーグ):スイスの銀行最大手UBS は29日、スイスの監督当局から訴訟に関連したリスクに備えるため資本を積み増すよう命じられ、利益率の目標を2015年に達成することは難しくなったと明らかにした。
同行は株主資本利益率(ROE)を15年に15%とすることを目指していたが、発表によると、当局が命令を撤回しない限り目標達成は少なくとも1年遅れる。
セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、当局の「この決定につながった特定の事柄を当行は特定できない」とし、「さまざまな理由によるもので一時的な措置だ。この追加負担を取り除くよう努める」と語った。
同日発表した7-9月(第3四半期)純利益は5億7700万スイス・フラン(約630億円)。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト12人の予想 平均は5億6100万フランだった。2億2200万フランの税制優遇措置が、訴訟と規制に関連した5億8600万フランの引当金の影響を和らげた。
新銀行規則「バーゼル3」に基づくUBSの自己資本比率は既に同業者の中で最高水準。投資銀部門の債券トレーディング縮小によってリターン向上をめざすエルモッティCEOにとって、資本増強命令は痛手だ。UBSは過去1年に制裁金と訴訟の和解費用として約30億フランを支払っている。同行は14年末まで法的・規制関連「費用の高止まり」が見込まれるとした。
最優先課題UBSは依然、バーゼル3に基づく普通株自己資本比率を14年に13%超に引き上げることは可能と考えている。当局による訴訟と法順守に関するリスク評価引き上げの指示の影響は、スイス国立銀行(SNB、中央銀行)からのファンド買い戻しによる資本増効果で部分的に相殺されることになりそうだ。
資本目標を達成することが今後1年の最優先課題だとエルモッティCEOは述べた。同行は目標達成後に利益の50%超の配当支払いを開始する計画。
UBSの発表によると、スイスの金融市場監督当局FINMAの命令は10月1日時点でUBSのリスク加重ベース資産を約280億フラン増やし、バーゼル3に基づく普通株自己資本比率を130ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)押し下げる。一方、金融危機時に同行の不良資産を引き取るため設立された中銀のファンドを買い戻すことにより自己資本比率は100bp上がるという。
法的問題の展開UBSによれば、FINMAの決定は最近の損失の履歴と、オペレーションリスクに対応した資本との比較に基づいている。FINMAは定期的な見直しでUBSの引当金と関連の法的問題の展開を検討するという。UBSの9月30日時点の訴訟・規制関連の引当金は17億4000万フランと、6月末時点の21億9000万フランから減少していた。
FINMAは他の当局と共に為替市場操作の可能性を調査している。UBSは外為業務について内部調査を実施し、適切な人事面の措置を取ったと説明した。
この日発表した決算では、投資銀行部門の第3四半期税引き前利益は2億5100万フランと前年同期の9200万フランから増加。ウェルスマネジメント部門は前年同期比4.6%減の同5億5500万フラン。同事業の粗利益率は5bp低下し85bpだった。
原題:UBS Profitability Goal Delayed by Regulator’s CapitalDemand (1)(抜粋)
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更新日時: 2013/10/29 17:18 JST