2013.10.22 05:00

【甘口辛口】熾烈なフィギュアの代表争い…一発選考を考えてはどうか

■10月22日

 「町田樹(まちだ・たつき)」。あまり聞き慣れない名前で首をひねる人も多いだろう。女子で浅田真央が抜群の表現力で圧勝したフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第1戦、スケートアメリカの男子で優勝した選手。総合得点265・38は世界歴代5位というすごさだった。

 長い年月、こつこつと実績を積み上げ花を開かせるフィギュアでは珍しく、突然現れたようなインパクトもある。「この競技に限って、すい星のごとく現れることはありえない。町田は関大の先輩高橋大輔の陰に隠れた形だったが、きっかけをつかめばすぐ肩を並べるだけの力はあった」と関係者は言う。

 4回転ジャンプが当たり前となった男子は、より強じんな体力が必要となり22~23歳がピークといわれる。今回4位の高橋は27歳、6位の小塚崇彦は24歳とそろそろ「勤続疲労」が出るころだが、町田はいまがピークの23歳。小柄(1メートル63、53キロ)で小回りがきく分、選手寿命も長そうだ。

 来年のソチ五輪に向け男子は町田ら3人に加え織田信成(26)、羽生結弦(18)、無良崇人(22)の6人が代表3枠を争う。五輪でメダルを取るより難しそうだ。12月の全日本選手権優勝者が最優先となり、後はGPファイナルの成績や世界ランキングなどを考慮して選ぶが、これまで五輪や世界選手権の選考には何度か疑問符が付けられたこともあった。

 底上げが進み、町田のように急成長する選手もいる日本は、いまや有数のフィギュア大国でもある。海外の評価は参考にするにしても、「自国の評価」を重視し代表は全米選手権3位までとする米国のように、全日本での一発選考を考えてもいいのではないか。(今村忠)

(紙面から)