リアルサウンド 10月28日(月)9時4分配信
今、音楽番組に求められているものは? |
フジテレビ『リーガルハイ』やTBS『安堂ロイド』、日本テレビ系『ダンダリン』など、秋ドラマの視聴率の伸び悩みが伝えられているが、音楽番組も厳しい状況が続いている。
TBSの音楽番組『火曜曲!』は視聴率低迷のために今年9月で打ち切り、後番組にはバラエティー番組の『内村とザワつく夜』が放送されている。同局の『CDTV』もかつてほど振るわず、10月6日に番組の20周年記念番組として放送された『CDTV 20周年プレミアライブ』はゴールデンタイムにもかかわらず視聴率9.2%にとどまった。他方、深夜枠で静かな支持を集めているのが、今年4月から放送開始した『ARTIST』。ミュージシャンと交流の深い脚本家の大宮エリーがMCを務め、スキマスイッチや山崎まさよし、七尾旅人といった実力派ミュージシャンをゲストに迎えるという硬派な音楽番組だ。同局の渡辺正一編成部長は「30分のしっかりとしたパッケージで音楽と向き合う番組をやっていきたい」と、同番組に対する意向を話している。
テレビ朝日の『ミュージックステーション』は、10月18日からサブ司会者が竹内由恵アナから弘中綾香アナに変更。また当日はKISSやザ・ストライプスといった海外アーティストも出演したが、視聴率は9.7%と平均並み。アイドルからロックミュージシャンまで、幅広いミュージシャンが登場するのが同番組の面白みでもあるが、最近は「内容がカオスすぎる」との声も。今や地上波では唯一といえるレギュラーの「総合音楽番組」であるため、幕の内弁当的な内容となるのは仕方ないかもしれない。
『僕らの音楽』、『新堂本兄弟』などで、生演奏に力を入れてきたフジテレビは今年3月、音楽番組プロデューサーのきくち伸氏が自身のブログにて「口パク」の排除に言及して話題を呼んだ。『MUSIC FAIR』や『FNSうたの夏まつり2013』は実際に生歌で行われ一部で喝采を浴びているが、アイドルなどにはもともと歌唱力ではなく、ダンスなどのパフォーマンスを売りにしているケースも多く、そういった歌手やグループのファンからは反発の声も出ている。同氏の手がける番組は視聴率も安定しており、今後パフォーマンス系の歌手やグループをどう演出するかにも注目が集まる。
日本テレビは、音楽ライブ番組『LIVE MONSTER』を今年4月から放送している。10月からはMCが赤坂泰彦から中村正人(DREAMS COME TRUE)へと変更、視聴率は6%前後でフジテレビの『新堂本兄弟』と同程度。同局は『1番ソングSHOW』というカラオケ番組も持っているが、ゴールデンタイムにも関わらず視聴率が8%前後のときもある。
フジテレビの『HEY! HEY! HEY! MUSIC CHAMP』やTBSの『うたばん』といった、トーク重視の音楽番組が終了し、全体としてライブや生歌を重視する傾向が強まっている昨今の音楽番組だが、大きく話題となるようなヒット番組は生まれていないのが実情である。一方で、NHK Eテレが10月3日より放送している『亀田音楽専門学校』のように、派手な演出などはないものの、J-POPの音楽理論をわかりやすく解説する教養番組が一定の支持を得ている。音楽番組には、新しい音楽の楽しみ方を味わえるような新鮮な切り口が求められているのかもしれない。
リアルサウンド編集部
最終更新:10月28日(月)15時58分
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