【スポーツ随想】いまだ不透明なフィギュア代表選考 自国評価最優先で決めるべきは?

2013.10.29


アンチ美姫派も納得する代表選考基準を考えるべきだ【拡大】

 

 このところ週末ごとにフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズのテレビ中継がある。先週末の第2戦・スケートカナダでは女子の鈴木明子が2位、男子も羽生結弦が2位、織田信成が3位と日本勢が表彰台をにぎわした。

 今週(11月1〜3日)の第3戦・中国杯に村上佳菜子が登場する。まさにフィギュア王国日本。来年2月のソチ五輪に向け代表争いは熾烈だ。女子は初戦のスケートアメリカで圧勝した浅田真央と鈴木、村上の3人で順当に見えるが、忘れてならないのが安藤美姫だ。

 4月に女児を出産し1カ月後の5月に練習を再開。先月末のネーベルホルン杯(ドイツ)で2年ぶりに復活した。「未婚の母」として育児と競技を両立させるストーリーはいかにも日本人好みで、テレビの格好のネタになっている。

 ただ会見を開いても肝心のことに触れず、話の内容は都合のいいことばかりだ。もともと好き嫌いがはっきりする選手。「五輪が近づき、とにかく目立たなければ、という意図が透けて見える」と眉をひそめるアンチ美姫派もいる。

 ソチ五輪の1次予選となった今月の関東選手権での合計147・30点は、浅田が193・56点で優勝した昨年の全日本選手権では10位相当。2年のブランクによる筋力の衰えは簡単に戻るはずもない。「五輪に出る選手のレベルに達していない」と日本スケート連盟も強化指定を見送った。

 「2年間、ほかの選手は一生懸命努力してきた。安藤はひやかし半分みたい。本当に五輪に出たいなら、せめて1年前に戻ってきてもらいたかった」との関係者の苦言も聞いた。

 強化指定がないと外国の大会には連盟推薦で出られないが、スケート連盟は主催者負担となる11月のオーストリアの大会には出場を認めた。彼女ならスポンサーも集まる。連盟には、なんとか安藤を代表にねじ込みたいという気持ちがあるのかもしれない。

 人が採点する競技だけに、過去にも五輪や世界選手権での不明朗な選考が問題になっており、今後が見ものだ。

 男子はスケートアメリカで優勝した町田樹におなじみの高橋大輔、小塚崇彦や無良崇人が加わって6人で3枠を争う。

 五輪でメダルを取るより代表になる方が難しそうな大激戦だ。こうなったら、米国のように男女とも12月の全日本選手権の上位3位までの一発選考にすべきではないか。

 底上げが進んだ日本のレベルは世界最高峰といっていい。海外の評価より自国の評価を最優先させて決めたとしても、誰も文句はいえないはずだ。その中で安藤が3位以内に入れたら、アンチ派も納得するだろう。(作家・神谷光男)

 

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