朝鮮大学校出身者も司法試験1次試験免除

 法務省は、「『司法試験法第4条第1項第4号の規定により司法試験第1次試験を免除される者に関する規則』の一部を改正する省令」を2004年8月16日付で公布し施行した。
 

 改正の主な内容は、「司法試験委員会において、個別の受験資格審査により、学校教育法に定める大学(短期大学を除く)を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者で、受験しようとする年の3月31日までに22歳に達している者に対し、司法試験第1次試験を免除する規定を加える。」というものだ。
 

 この改正により、今まで司法試験1次試験が免除されなかった朝鮮大学校出身者も司法試験委員会の個別資格審査を通じて、司法試験1次試験が免除されることになる。
 

 今回の法務省の措置に関しては、朝鮮大学校教員と法律学科学生とともに、法律学科非常勤講師の同胞弁護士らによって構成された朝鮮大学校側の要請団が、2003年7月15日に司法試験管理委員会(現在は司法試験委員会)委員長宛の要望書を提出し、具体的な要望を行った経緯がある。その後も、人権協会による要望書の提出、「『朝鮮大学校学園祭2003』に参加した日・朝大学生有志一同」の名で要望書を提出し、朝鮮大学生とともに日本の大学生らが要請を行った。今回の法務省の措置は、このような地道な要請が実ったものである。
 

 今回、法務省が朝鮮大学校卒業生(卒業見込みを含む)への個別審査による司法試験1次試験を免除したことは、現行の司法試験を目指す者の可能性を広げるのみならず、他の国家資格取得における従来の未解決の差別を是正していく上でも大きな影響を及ぼすものと考えられる。例えば、不動産鑑定士試験、公認会計士試験には1次試験免除の制度があり、従来、朝鮮大学校出身者は大学卒として認められず、その適用から除外されてきた。今回の措置は、これらの状況を含め、「日本の大学を卒業した者と同等以上の学力をもつ者」を条件とする国家資格の受験資格獲得において大きな影響を及ぼすものと考えられる。