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いじめ対策方針 掛け声倒れにしないよう

2013年10月19日(最終更新 2013年10月19日 10時33分)

 いじめ防止対策推進法が先月末に施行されたことを受け、文部科学省はいじめ防止のための国の基本方針を策定した。同法を運用する上での具体的な指針で、重大ないじめが発生したときには、教育委員会や学校が実施する調査に弁護士や医師、学者など第三者の専門家が参加することなどを求めている。

 同法は、大津市で起きた中学生の自殺など、子どもの命に関わる深刻ないじめが相次ぐ一方で、学校や教育委員会の対応のずさんさが明らかになったことをきっかけに制定された。

 国の基本方針を踏まえ、全国の自治体や学校も、それぞれの基本方針を定めるよう求められている。

 新しい法や制度の導入を機に、学校現場でのいじめ根絶の取り組みが大きく前進することを期待したい。

 同法は、各学校にいじめ相談の窓口などとなる対策組織の常設や、「重大ないじめ」が発生した際に教育委員会に調査組織を設置することを定めている。

 基本方針は、重大ないじめについて(1)被害者が自殺を図る(2)身体や金品に大きな被害を受ける(3)1カ月程度の不登校になる‐など具体的な基準を示した。

 学校が重大ないじめと認識しなくても児童生徒や保護者から訴えがあれば調査を行い、調査組織には当事者と利害関係のない専門家の参加を求めるとした。

 大津のいじめ自殺事件では「加害者側の人権」を理由に、教育委員会がアンケート結果などを隠していたことが問題となった。基本方針は、教育委員会や学校はいじめ被害者に必要な情報を提供する責任を明記し、「個人情報を盾に説明を怠らないように」とくぎを刺した。

 こうした規定から見えてくるのは、教育現場にはびこる「事なかれ主義」や隠蔽(いんぺい)体質が、いじめ根絶の障害になっている‐という問題意識だ。

 いじめ防止対策推進法や運営の基本方針が、被害者保護をより重視し、教育現場に隠蔽体質からの脱却を求めた点は評価できる。

 だが、教育現場でこうした理念や方針を実践していくのは容易ではない。

 教職員の意識改革をどう進めるか。各校に置くいじめ対策組織や調査組織の人選・運営は具体的にどうするのか。

 こうした課題について一つ一つ現場で検討を重ね、より良い方策を探っていかなければならない。

 いじめ対策は(1)未然防止(2)早期発見・指導(3)重大ないじめへの対応‐と三つのポイントが指摘される。いずれも重要な対策だが、いじめが起きない環境づくりが大切であることは言うまでもない。

 いじめ事件で適切に対応できなかったと批判された教育委員会の抜本改革も中央教育審議会で論議されている。

 いじめ根絶が掛け声倒れとならないよう、学校や教育委員会のあり方も含めた問題意識を社会全体で共有し、実効性のある対策に知恵を絞りたい。


=2013/10/19付 西日本新聞朝刊=

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