|
今年の干支へびが主役の創作童話コンクール |
|
へびになったけん太 |
けん太は、小学三年生のとっても元気な男の子です。ある日、けん太は学校の帰り道に家の近くの神社の前を通ると、一ぴきのへびがあらわれました。一人だったけん太は、こわくなってへびが近づいてこない様に、そっと足音を立てずに歩きました。でもへびが気になるけん太は後ろをふりむくとけん太のすぐ後ろにへびがいて、「ぎゃ~」とさけんでいそいで走って家まで帰りました。
「もういないよね」。けん太は、へびがついて来てないかたしかめてから家に入りました。「ふう~こわかったな」と思いっきりしんこきゅうをしました。「お母さん今、ぼく神社の前でへびを見たよ」とお母さんに話しました。するとお母さんは、「神社にいたならきっと守り神様よ」と言いました。「守り神様? あのへびが~」。けん太はへびが神様なんてよくわかりませんでした。
今まで動物園やテレビでしか、へびを見た事がなかったから、けん太はちょっとこうふんしていて、ばんごはんの時もお風呂に入っている時も、ずっと今日あったへびの事を思い出していて、ベッドに入ってもなかなかねむれませんでした。
朝、目がさめたけん太は、台所に行って、「お母さんおはよう」と言うと、お母さんは「きゃ~」と言ってにげてしまいました。「お母さんどうしたの、ねえお母さん」とけん太はお母さんに近づくと、お母さんは「お父さん、けん太、へびよ、へびがいるのよ」とさけんでいました。
「お母さん、ぼくはここだよ、へびは、どこにいるの?」。ぼくは、どきどきしながらあたりを見まわすと、なんだかへんです。家の中がすごく大きくなっています。そして、自分がへびになっている事に気づいたのです。「えーどうして、どうなってるの」
「お父さんお母さんたすけてよ~」とけん太がさけんでもお父さんもお母さんも、ぼくを外に出そうと、長いぼうを出して来て、ぼくに近づいてきました。ぼくは、かなしくなって外にとび出しました。
けん太は、ニョロニョロと神社に向かいました。「人にあったらきっとこわがられるな、どうかだれにも会いませんように」と思いながら神社に着くと、一ぴきのへびがあらわれました。
けん太は、自分がへびになっているのをわすれて「ぎゃー」とまたにげようとしました。すると、そのへびは「おはようけん太君」と言いました。けん太はおどろいていると、「こわがらなくていいよ、何もしないから。ぼくは、けん太君と友達になりたいんだよ」と言ったので、けん太もちょっとほっとして「おはよう」と言えました。
そのへびは、きのう、学校の帰りに出会ったへびでした。「ぼくはにょろ太だよ、いつもこの神社の草むらから、けん太君を見ていたよ。人間はぼくをこわがったり、つかまえたりするからいつもこっそり見てたんだ」
「でもけん太君は、ちがうよね。友達だよね」とにょろ太が言ったので、けん太はうれしくなりました。そして、にょろ太と神社の草むらでたくさん遊びました。「あ~おもしろかった、また遊ぼうね。ぼくはいつもこの神社でけん太の事を見守ってるからね」と言って、にょろ太は神社の草むらの中に帰っていきました。
「けん太早くおきなさい、学校ちこくするわよ」とお母さんの声がします。けん太は「え~、でもぼくはへびだからどうしたらいいんだ」と自分の体を見ると、なんと元の体になっていてベッドの上にいました。
「あれ、ゆめだったのかな」。そう思いながら、いそいで着がえて学校に行く用意をしてから台所に行き、朝ごはんを食べました。「お母さん、やっぱりきのう見たへびは、守り神様だね」とけん太は言いました。
そして学校に行く時、神社の前を通ると、にょろ太がいないかなと、さがしましたが、出て来ませんでした。「にょろ太、又遊ぼうね。ぼくをいつも見守っていてね、ありがとうにょろ太、ぼくの友達だよ」とけん太は心の中で言っていました。
それからいつも神社の前を通るとにょろ太の事を思い出しました。きっと、いつか又、にょろ太に会えるのを楽しみにしているからね。 |
|
おはなしボランティアきいちご代表・松下通子審査員
夢の中に自分を置いて文章を作っており、素直に読んでいける作品でした。おしまいまですっと読ませてもらいました。最後のまとめもうまかったですね。
|
|
|
※最優秀賞以下の入賞作品は1月5日以降の本紙で順次、紹介します。
|
※ニュース和歌山 2013年1月12日号記事
|
|
|