設立趣意書
 平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波は、我が国に未曽有の大規模災害をもたらしました。その後2年半が経過しましたが、福島県の浜通り周辺は未だ復興には程遠い状況にあります。その大きな要因は、福島第一原子力発電所の事故から放出された放射能による環境汚染にあり、その結果、多くの皆様が引き続き避難生活を余儀なくされている実態は改善されないままです。また、最近、汚染水問題が顕在化してきましたが、これらに対しても一日も早く有効な解決策を講じて行くことが政府のみならず関係者の責務であると痛感しております。
 一方、原子力発電所が長期に稼動停止しているため、火力燃料の輸入増加による電気料金の値上げが産業を疲弊させ始め、国民生活を圧迫し、国富の海外流出に歯止めがかからず、我が国の経済再生にとって大きな制約となっています。同時に、立地地域の経済と雇用にも深刻な影響を与えています。
 規制は国民のためにおこなうものであり、国民の過大な負担につながることのないように考慮されるべきだと考えます。米国原子力規制委員会が経済性の重要性をうたった大統領令を適宜に斟酌している実態を参考に、国際基準に比べても遜色のないように、リスク概念を導入した安全性と経済性のバランスが取れた規制が望まれます。
 また、報道機関においても、未だに放射能に関連する問題だけを強調しその解決に触れない情報が多く、結果的に事態を混迷に陥れ、福島の復興を妨げています。運転停止で流出する巨額の国富が福島復興に充てられ、放射能に関する国民的誤解が解かれれば、福島はすでに復興を相当程度終えていたはずであり、喫緊の課題と考えます。
 そこで、このような緊急課題の解決を図り、以下に掲げる目標の実現に向け、全国に散在する関連諸機関や同じ志の同胞が協力し、「原子力の安全と利用を促進する会」を結成し、以て国民や国や原子力関係機関に声を届け、我が国における原子力の安全と利用の促進に資する行動を取ろうとしています。また、本会はエネルギーのベストミックスの重要性を鑑み、再生可能エネルギーの開発は適切な評価の下で実施されるべきと考えます。

 【目標】
 福島の「復旧復興」と日本経済の「再生」に貢献し、民間の「発信力の育成」を意識しながら、商工と技術の「橋渡し」の構築に努め、規制と産業界の「関係の改善」に貢献することを目指す

 【活動内容】
(1) 福島第一原発事故の被災者を支え、外国の例(チェルノブイリ事故と復興対策)も参考にし、復旧復興を促進する働きかけを行い、風評被害の軽減化に役立つ活動を行なう。
(2) 講演会、セミナーや勉強会等を系統的に実施し、国民の原子力の安全性、必要性に関する理解向上に努めると同時に世論の喚起を促す。
(3) 原子力政策・規制に対する会員からの要望、分科会における検討結果をまとめ、国やマスコミなどの関係機関に政策提言等として届ける。
(4) 地域別・テーマ別に経済団体、商工業関係者と原子力技術者の意見交換を行い、問題点や解決策とその実現方法について共有できる関係を構築し、原子力の正常化に向け連帯して行く。
(5) 海外との情報交換を通じ、原子力安全の国際標準に照らし、規制当局及び事業者への提言活動を行う。

 その他、原子力利用の安全と利用に係わる事項全般に対し、「規制と産業界の関係の改善」に留意しながら適宜な行動を取って行く。
平成25年10月1日

 【発起人】
有馬 朗人(元文部大臣、元東京大学総長)
今井 敬(日本経団連名誉会長、新日鉄住金名誉会長)
葛西 敬之(JR東海会長)
秋元 勇巳(元三菱マテリアル会長)
石川 迪夫(元北海道大学教授)
茅 陽一(地球環境産業技術研究機構理事長、東京大学名誉教授)
後藤 茂(元衆議院議員)
中村 政雄(元読売新聞論説委員)
木元 教子(元ニュースキャスター、評論家)
田中 憲夫(川内商工会議所会頭)
有馬 義一(敦賀商工会議所会頭)
西川 正男(柏崎商工会議所会頭)
宮崎 慶次(大阪大学名誉教授)
宮 健三(日本保全学会会長、東京大学名誉教授) 

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