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日本版NSC―軍事の司令塔にするな

国家安全保障会議(日本版NSC)の設置法案をめぐり、衆院特別委員会の審議がきのう始まった。米国などのNSCと連携しながら外交・安全保障の司令塔として省庁間調整にあたり、[記事全文]

公共インフラ―維持・管理への集中を

高速道路をまたぐ一般道の橋(跨道橋〈こどうきょう〉)約4500カ所のうち約630カ所は、これまで一度も点検されていない。点検記録がない橋を加えると、全体の4分の1に達する。[記事全文]

日本版NSC―軍事の司令塔にするな

 国家安全保障会議(日本版NSC)の設置法案をめぐり、衆院特別委員会の審議がきのう始まった。

 米国などのNSCと連携しながら外交・安全保障の司令塔として省庁間調整にあたり、議長である首相を助ける。

 扱うテーマは対中関係や北朝鮮の核・ミサイル問題、領土問題など。武装した漁民が無人島に来た場合、まず警察や海上保安庁が対応するが、エスカレートすれば自衛隊が出動し、短時間で切れ目のない対応をとる――。安倍首相が描くのはこんなイメージのようだ。

 たしかに、こうしたケースも全く想定できないわけではない。省庁の縦割りが迅速な危機対応を阻んできた経験を踏まえれば、内閣の調整機能を高める狙いは理解できる。

 だが、気掛かりな点は多い。

 まず、軍事偏重の向きはないか。むろん侵略やテロへの備えは必要だが、それだけが安全保障ではあるまい。エネルギー問題や金融不安、食糧、災害、感染症といった多様な危機にあたっては、軍事、外交、経済などさまざまな角度から検討されなければならない。

 軍事の司令塔のようになってしまっては、現代の複合的な危機には対処できない。

 NSC法案とセットとされる特定秘密保護法案の問題もある。政府が常に正しい判断ができるとは限らない。失敗すれば特に、国民への説明責任が生じる。後世の歴史的な検証に付されるのは当然のことである。

 だがNSCの議論に、米国などから得た機密情報が含まれ、それが特定秘密に指定されている可能性は高い。いまの特定秘密保護法案が通れば、どんな情報を得て、どんな議論が交わされ、その判断に至ったかを検証することは難しい。

 さらに安倍政権の視線の先をたどっていくと、NSC法案は安保政策の大転換に向けた最初の一歩とも言える。

 この法案が通れば、次に特定秘密保護法案の成立をはかり、日米同盟のさらなる強化に踏み出す。年末に策定する国家安全保障戦略には武器輸出三原則の見直しを盛り込む。集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈を変更し、来年末までに見直す日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に反映させる。

 政権が描くのはそんな道筋であり、NSC法案はその入り口になる。

 日米同盟の軍事的な一体化をどこまで進めるのか。これからの論議が、日本の方向性を決めることになる。

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公共インフラ―維持・管理への集中を

 高速道路をまたぐ一般道の橋(跨道橋〈こどうきょう〉)約4500カ所のうち約630カ所は、これまで一度も点検されていない。点検記録がない橋を加えると、全体の4分の1に達する。

 会計検査院の調べで、そんな実態がわかった。

 高速道路会社が目視での点検や応急補修は行っているというが、本格的な維持・更新作業は手付かずのままだ。万一、古くなった橋が高速道路の上に落ちたら大惨事になりかねない。

 なぜ盲点が生じたのか。

 跨道橋は大半が市町村など自治体の資産で、管理責任も基本的に自治体が負う。しかし、このことを十分自覚していない自治体が少なくないようだ。

 国土交通省は高速道路会社と自治体が連携して対応するよう指示したが、問題は跨道橋にとどまらない。公共インフラの老朽化全般に通じる教訓を学び取るべきだろう。

 まずは、縦割りを徹底的になくすことだ。

 インフラの管理者は、国や自治体のほか、鉄道会社、高速道路会社といった企業、独立行政法人など多岐にわたる。それぞれが自らの資産をしっかり管理するのが基本だが、跨道橋のように抜け落ちた例がないか、チェックを急ぐべきだ。

 自治体、とりわけ規模の小さな市町村をどう支えるかは、深刻な問題である。

 国交省のアンケートによると、インフラの維持管理・更新で市町村があげた懸念は、トップが「予算の不足」(86%)、次いで「職員の不足」(68%)だった(複数回答)。

 昨年末の中央自動車道・笹子トンネルの事故を受け、国交省は今年3月、当面の課題と対策を3年間の工程表にまとめた。自治体への支援では、支出の自由度が高い防災・安全交付金の積極活用や、国の出先機関の相談窓口としての機能強化を掲げたが、危機感が足りない。

 公共事業は新設を最小限に抑え、維持・更新に集中することを宣言すべきだ。そのうえで既存の公共施設のデータを再整備し、維持・更新にいくらかかりそうか、実態に即して推計することが出発点となる。

 たとえば、道路の橋(2メートル以上)は全国に70万近くあるが、建設年度がわからない橋が約30万もあるという。公共インフラ全体の維持更新費は、国交省がおおざっぱに「今後50年で190兆円」とはじいたことはあるが、具体的な推計作業はやっと本格化した段階だ。

 対策を急ぐ必要がある。事故が起きてからでは遅い。

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