27日の大宮戦で後半から出場した田口=豊田スタジアムで
|
 |
名古屋グランパスのMF田口泰士(22)が残り4試合での逆襲のキーマンに名乗りを上げた。27日の大宮戦では後半から出場し、劣勢だった流れをガラリと変えるプレーで逆転勝利に貢献。今季は開幕スタメンを奪いながら夏場以降にポジションを失った若き司令塔が、再び存在感を発揮して来季につなげる。
抜群のサッカーセンスを持つ司令塔が、復権を印象づけた45分間だった。大宮戦で後半から中村に替わって出場した田口。最終ラインからサイド、さらには前線と、幅広く気の利いたポジショニングと配球で攻撃のリズムを作り出した。これにより低調な前半の内容から一変した。
ストイコビッチ監督も「本当に後半は素晴らしいサッカーをした」と絶賛したが、田口はいたって謙虚。「ハーフタイムにみんな気持ちを切り替えていたし、ロッカールームでも士気が高まっていた。僕が入ったからというより、全体として前に行く意識が出ていた」と笑顔で振り返った。
後半31分には前線にスペースを見つけて飛び出し、MF玉田からのパスを受けて、狙い澄ました右足ミドルシュートを放った。惜しくも相手GKにはじかれ、「置きに行きすぎました」と悔やんだ一発。ただ、これまでにないゴール前での積極性と落ち着きを見せ、「ああいうのが入れば、また評価は変わってくる」と手応えも手にした。
今季は開幕前に掲げた全試合フル出場という目標が第2節で早々に途切れ、チームが好調だった夏場に出番を失った。チームを引っ張るはずが、悔しさを噛みしめた1年。だからこそ、最後は来季につなげる終わり方にこだわる。「ミスをなくしていけば、評価も上がってくると思う。残り4試合、チャンスをもらえたらしっかり貢献できるようにしたい」。出番に飢えた田口にとって、消化試合はひとつもない。来季のレギュラー争いは、すでに始まっている。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する