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【大リーグ】

上原がワールドシリーズ初S 日本人で初の歴史的一歩

2013年10月29日 紙面から

◇ワールドシリーズ<第4戦> レッドソックス4−2カージナルス

 2日連続でポストシーズン(PS)史上初の“珍事”決着!? カージナルスの2勝1敗で迎えたワールドシリーズ(WS)第4戦は27日(日本時間28日)、カ軍本拠地ブッシュスタジアムで行われ、レッドソックスが勝ち、シリーズ通算成績を2勝2敗のタイに戻した。4−2の9回2死一塁の場面で、レ軍の守護神、上原浩治投手(38)が一塁へ“絶妙”けん制。虚を突かれた一走コールテン・ウォン内野手(23)がけん制死して試合終了という109回目を迎えたWSはもちろん、PS史上初の結末だった。上原は1イニングを1安打無失点に抑え、日本人投手初のWSでのセーブを挙げた。

 WSで日本人初セーブという歴史的瞬間は意外な形で突然訪れた。レ軍2点リードの9回裏2死一塁で打席にはこの日適時打を放ち、本塁打の魅力も十分のベルトラン。一発同点を期待し、カ軍ファンの歓声が地鳴りのように響く中でその珍事は起こった。

 カウント1−1からの一塁けん制。上原は何げなく「ずっと同じリズムで投げていたので、ちょっと変えようかなと考えて入れた」が、虚を突かれた一走ウォンの帰塁が一瞬遅れてタッチアウト。上原の手にセーブが転がり込んだ。

 「まさかでしたけど、良かった。あれはアウトでしょ」と上原。8割方相手のボーンヘッドとはいえ、チームにシリーズ2勝目をもたらし、自身にもセーブが付いたことも確か。ナポリ一塁手とジャンプしながらハイタッチという試合後のはしゃぎっぷりも仕方のないところだった。

 マウンドでは落ち着き払っていた。「(相手の8回1死三塁の好機で)1点差での登板も覚悟していた」が2点差のまま。一塁走者がいても打者ベルトランに集中できた。百戦錬磨のベテランらしく「(公式球に印字してあるWSという)マークが消えていたんで。ウイニングボールをもらう時にワールドシリーズって書いてるかどうか(が重要)」と、緊張して当然の場面で球審にボールを新球に変えるよう要求する余裕すらあった。

 1死から代打クレイグに右越え安打されても動じない。5投手がつないだ必勝バトンに「どうにかして自分も抑えたいという気持ちで(マウンドに)上がった」気持ちが上回った。M・カーペンターをどん詰まりの二飛に打ち取ると、最後は“野球の神様”もレ軍にほほ笑んだ。

 相変わらず記録には無頓着だ。WSでの日本人初セーブにも「セーブなんてどうでもいい。勝てばいいんです」と無関心だった。

 この日の勝利で少なくとも残り2試合を戦うことになったが、38歳のベテラン右腕は「しんどいですけど頑張ります」。今季はレギュラーシーズンと合わせて登板84試合。心身ともに限界をとっくに超えているが、本拠地ボストンのマウンドで再び舞うべく、最後の力を振り絞る。

 

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