(台北 27日 中央社)日本統治時代の1930(昭和5)年に発生した霧社事件からきょうで83周年。2011年に台湾映画「セデック・バレ」が公開されて以降関心が高まり、リニューアル工事が完成した関連記念館には毎日多くの観光客が訪れている。26日付けの自由時報が伝えた。
霧社事件は台湾中部・南投県仁愛郷に存在した台湾原住民・セデック族(当時はタイヤル族に分類)の霧社地区で、日本の統治に不満を抱いた反抗勢力がこの日行われていた運動会になだれこみ日本人を対象とする殺りく作戦を展開、134人が殺害された。日本統治から35年が経過し、原住民の統制にも一定の成果が現れていたさなかでの惨事に、台湾はおろか日本中を震撼させた。
事件後に軍と警察らは反抗勢力の武力鎮圧を行ない644人が死亡したが、生き残り投降したセデック族の住民らは川中島地区(現・清流集落)に移転させられ波乱万丈な余生を過ごした。この場所には戦後になって記念碑とここに移転した人たちの生活を紹介する「余生記念館」(=写真)が建てられたが、映画の大ヒットによって訪れる人が増加しても、老朽化や建物の裏側にある斜面に土砂災害の恐れがあり、訪問者を“がっかり”させていたという。このことから自治体は政府に対して補助金を要請し、改修工事が続けられていた。
その工事が最近になって終了、元々展示されていた映像や文章に修正を加え、戦後の集落の変遷、悲劇から立ち直る人々などを紹介する展示が新たに増設されたほか、「セデック・バレ」で使用された衣装や道具、文物なども置かれた。一般開放以降、映画のヒットも幸いし、日本人観光客を含めて一日100~200人が訪れているようになっており、時代に翻弄された人々の生活を現在に伝えている。
(編集:齊藤啓介)