中古でゲームを買う人は客ではない、ゲームソフトの中古問題に関して語る

2008年10月20日:中古でゲームを買う人は客ではない、ゲームソフトの中古問題に関して語る
ちょっと中古問題に関して触れてみようかと思う。
中古問題ですか?
先に前提を述べるけど、決して中古そのものが悪だとかいうわけではない。これはすでに最高裁判所の判例でも出ているように、法的に合法なのだから、 この点においては異を唱える気はないということ。なので、別に中古ソフトを買ったからと言って、なんら問題はないということを言っておこう。
ですが、それでも中古問題に関して言いたいことがあるのですよね?
今回は、比較的真面目に取り上げてみる。
では、どうぞ。
まず、先に示したように、中古でゲームを買う人は客ではないという点を伝えておきたい。ここでいう客とは、ゲームメーカーにとってであり、ショップからすれば当然客であることは言うまでもない。
なぜ、ゲームメーカーにとって、客ではないのですか?
中古で買っても、一切ゲームメーカーにお金が入ってこないという点。これに尽きる。金を払わない人を客ということは一般的にほとんどないからな。冷やかしとか言われるけどさ。
まあ、そうかもしれませんね。
で、この問題を考えるときには、やはり立場の違いを明確にしておく必要がある。主に、メーカー側、ショップ側、そしてユーザー側の3つに分けることができるだろう。まずは、ユーザー側の問題から見ていこう。
ユーザーにも問題があるのですか?
ユーザーの心理として、どうしても安く買いたいという思いがあるだろう。100円安ければ、ジュース一本余計に購入することができるのだから、経済的に考えれば正しい判断となる。
当然の考え方ですね。
ただ、ゲームをプレイする側、つまりはサービスを受ける側としてはどうかということ。
というと?
ここで本質的な問題が発生する。そもそも、中古で買うような人が客というべき存在なのか、ということ。メーカーは新品を売って、それに対して収益を上げることが出来る。中古で買った場合、その関係が成り立たない。つまりは、メーカー側からしてみたら、中古ソフトを購入しているユーザーは客ではないとなる。
では、どこの客となるのでしょうか?
それは当然ショップの客だ。ショップからすれば、新品が売れようが中古が売れようが利益になる。このため、ユーザーが中古でソフトを買った場合は、メーカーの客ではなく、ショップのみの客となる。
ふむ。
でも、なぜか中古でゲームソフトを買っている人間が、さもメーカーの客であるかのように振舞うことがある。不具合とか発生したら保障しろだの、このゲームの質は云々、客でないのだから本来なら言う資格はないにもかかわらず、こうした行為をする。だが、それはおかしいだろ?
おかしいですか。
前に北海道で拾った暖房器具によって人が死んだので、メーカーに賠償を求めて訴えたという話があった。普通の感覚で考えれば、おこがましいとしか思わないだろう。メーカーから正規のルートで購入し、この事件が起きたのであれば、当然訴えて損害賠償請求するのは当然だが、拾ってきて、勝手に使っての出来事なのだから。これは中古でも同様だ。拾ってはいないが、正規のルートではない形での購入なのだから、その責等をメーカー側に訴えるのはおかしな話だ。
では、どこに言えばいいのでしょう?
普通に考えてショップだろ。それは、たとえ不具合の発生等であってもだ。こんなものを売りつけたのはメーカーからの正規のルートを使わずに行ったショップなのだから、当然ショップにクレーム等を入れるべきだ。つまらないゲームだった場合も同じく。こんなものをこんな値段で売りやがってと、ショップに言えばよいだろう。しかし、おこがましくもメーカーに文句を言うようなやからもいる。客でないにもかかわらずな。
ですが、そうした中古でゲームソフトを買った人は、今後の見込み客になるという考えもありますが?
中古で買うような人は、今後も中古で買い続ける可能性が高いんだよね。なので、あまり見込み客にはなりえない。なぜなら、金がないから中古で買うのであって、金があるなら新品で買うだろうから。もちろん、価格差がありすぎる場合や、そもそも新品が品切れになっている場合は、別問題となるけど。
品切れとかでしたら仕方ないですよね。
新品があるのに、大して価格差がないのに中古で買うのであれば、今後新品で買うかといわれても、買わないだろ。まあ、中古がなければ新品で買う可能性はあるけど、そんなのを常に見込み客ですからと、客扱いをするいわれはない。
ユーザー側の問題はわかりましたが、メーカー側の問題は何かあるのでしょうか?
単純に開発資金が回収しにくくなるとかあるけど、それ以外にも問題が発生する。
それは?
価格を下げられないということ。
なぜですか?
メーカーは中古市場で出回るために販売本数が限定的になり、結果として新品価格も高めに設定しなければならなくなっている。もし仮に、中古市場がないのであれば、新品価格は1000円程度は楽に下げられるだろう。逆に言うと、中古市場があるから、新品で購入しているユーザーに対して余計な金銭的負担を強いている状況であって、決してまっとうな価格構成になっていない点も問題であろう。
そうなんですかね?
直近の例だと「メタルギアソリッド4」が挙げられる。北米と日本とでは価格差があり、日本の方が約2000円ほど割高での販売となっている。これは中古市場の有無によって、その分の価格補填という意味合いも含まれているだろう。まあ、実際そこまで考えていたのかどうかはわからないが。
ですが、中古市場があるから新品が売れるというのもあるのではないですか?中古でソフトを売れるから、新品を安心して買うという人もいるでしょうし。
いや、中古に物を売ること前提で考えること事態がおかしい。なぜなら、売らずにいる人も世の中に多数いるわけだし。そうなると、新品を購入し、ソフトを売らないような人に対してのみ、金銭的負担がかかるだけになる。公平に金銭的負担をユーザーに強いるのであれば、一律にすべきだ。また、中古市場がなければ価格も下がるというのは先ほど述べたとおりなので、今の中古ありきで物事を考えるべきではないだろう。
どうでしょうね?
そもそも、正当な料金を払わない人は、無理にゲームやってもらう必要ないじゃん。それは野球のタダ見と同じだよ。高層マンションに住んでいて、上から野球場を見下ろすことが出来た人が、その野球場がドームになったからといってクレームするようなものだよ。今まで恩恵があったかもしれないが、それが当然と思われても困る。
中古で売られないようなソフトを作るべきだという意見もありませんか?
全員が全員、「どうぶつの森」のようなソフトを望むのならそれでいいんじゃない?ただ、そじゃないだろ。RPGのように、一定のストーリーを堪能して終了というゲームを望む人がいる以上、それを作ることも必要だ。当然、そうしたソフトは一度プレイしたら基本的にしないよな。くり返しプレイするような人は暇な時間的に余裕のある人だけで、そうした人のために無駄なシステムを組むのはメーカーとしても無駄な労力だ。どうしても一定の時間で区切りがつくようなゲームであれば、中古として出回るのは必然。
いろいろなゲームがあるから面白いというのはありますね。
ここで言いたいのだが、誰に儲けさせたいのか、ということ。中古を買うと、儲かるのはショップだ。あなたはショップのじじいに儲けさせたいだけなのか、と。作っているメーカーに対する感謝の意を形としてまったく表することなく、ショップのじじいやばばあを儲けさせたいのか、と。
じじいやばばあ、って…。
別に葛西の話はしていないでしょ!!
私もしていませんよ!!
私たちがゲームを出来るのは、なんだかんだ言ってもメーカーのおかげではないのか、と。そして、今後も作っていってもらうためには、メーカーに還元しないとどうにもならんだろう。それなのに、中古でしかゲームを買わず、言う発言は続編物ばかりですね、とか。まともにメーカーに還元しないやつが言うセリフじゃないだろ。
続編物、多いですよね。
メーカーに還元されていれば、独創的なゲームを作る資金的余裕も生まれていたのだろうが、それを中古市場が奪ってしまっている。そのことを知ってか知ろうとせずかはわからないが、中古で買っておきながら、最近のゲームは同じものばかりですね、とか言ってのけるんだよね。これもまた、おこがましいユーザーだろう。
では、どうすればいいのですか?
新品を買おうということだよ。新品を買えば、メーカーに還元されるし、そしてショップも利益が出る。ショップからすれば中古の方が利益率は高いけど、両方に還元されるのであれば、なんら悪いことではないのだから。そして、そうすることが、メーカーも潤い、次のゲーム開発の助けとなるし、ショップも新品を入荷しようという気にさせる。そしてユーザーも今後の新作に期待できると、3者がwin-winの関係になれる。これほど魅力的な状況もないだろ。
win-win-winですね。
別に新品と中古の価格差が大きく開いているような場合はまた考えるところもあるだろうが、価格差が数百円とか、千円台とかであれば、そこはメーカーへの応援の意味も込めて、新品を買ってもらいたいところだ。また、ベスト版が出ているのであれば、中古を買わずにベスト版を購入するとかね。
ベスト版が出たときと中古の価格差は大きくなりませんから、それは選択肢に入れてもよいかもしれませんね。
ただ、ここまでいろいろ言ってきたけど、やはり中古市場というのが存在するのは事実なわけで。さらに現実的な案を出す必要があるとは思っている。
その案とは?
まずは、新品で購入していただく。で、とっとと満足いくまでプレイして、そして、中古で売却だ。
中古を利用しているじゃないですか…。
売る程度だったら良いかと。なぜなら、中古で買わないような層は、そもそも新品を買わないのだから。そうした層は放っておき、まずは新品を買う層だけでも増えればと思う。数百円とか千円台程度の差であれば、ぜひ新品を手にとって貰いたい。これは、一般の人に対してであればいちいち言わないようなことだけど、ゲームにより親しんでいる人に、ぜひ一度考えてもらいたい。誰に対して対価を払うべきなのか、敬意を表するべきなのかを。そして、一人でも多くの人が、サービスに対して払うべき意義を見出してもらいたい。とりわけ、インターネットで無料で何でも出来るようになってしまい、この考えが希薄化されている現在だからこそ、なおさら訴えたい件だ。
そうですね。
ご清聴、ありがとうございました。

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