◇被爆アオギリ2世苗木 二条城に◇

 原爆で焼け焦げながらも枯れずに新たな芽を出した、広島市の被爆アオギリ2世の苗木が25日、世界遺産の二条城(中京区)に植樹された。植樹式には、修学旅行で京都を訪れていた福島県立会津高校の生徒も参加。平和への願いをこめて、くわ入れをした。

  ―福島の高校生 「勇気くれる」―

 苗木は2本あり、高さ約90センチ。広島市の爆心地から1・3キロの場所で被爆し、平和記念公園に移植されたアオギリの種を育てた。植樹式は、市民団体「被爆アオギリ里子運動関西事務所」などが企画した。

 植樹式は台風などの影響で、場所を屋内に移して二の丸御殿台所で営まれた。会津高校の生徒21人を含む約60人が参加。近くの京都市立堀川高校生徒会の6人も駆けつけた。

 会津高校2年の諏江霞純(すえかすみ)さん(16)は「東日本大震災から2年たったが、原発事故の影響で苦しんでいる人が多い。放射能は普通の生活を奪ったが、被爆しても生き延びたアオギリは、私たちに勇気を与えてくれる」とあいさつした。

 これに対し、堀川高校2年の佐々木佑介君(17)は「世界の人が訪れる二条城に被爆アオギリを植えると、世界に平和を発信できる」と歓迎の言葉を述べた。

 滋賀県日野町にある澄禅寺(ちょうぜんじ)の住職で「被爆アオギリ里子運動関西事務所」の左藤滋光(じこう)さん(57)は、被爆アオギリの前で修学旅行生に体験を語り続けた沼田鈴子さん(故人)の話をし、「原爆投下後の広島には草木が生えないと言われた。被爆アオギリは心ない風評が間違いだと証明した」と話した。

 式典には、被爆樹で作ったオカリナで演奏を続けている音楽家たちも出演した。苗木は天候が回復した後、庭園に植え替える。