2013年10月28日13時57分
在外被爆者に医療費支給の申請を認めないのは違法とした大阪地裁判決について、大阪府の松井一郎知事(日本維新の会幹事長)は28日、「控訴しません」と明言し、控訴を見送る方針を明らかにした。24日の判決は府の処分を取り消す一方、国家賠償請求は退けた。敗訴部分がない国は控訴できず、一審判決が確定する可能性が強まった。
松井氏は府庁で記者団に対し、「府としては判決を受け入れようと思っている」と述べ、判決確定後、原告の医療費支給申請を受理する意向を表明した。
被爆者援護法に基づく医療費支給は全額国費で、府は法定受託事務で申請や支給の窓口になっている。このため「大阪だけの話ではないので、国が責任を持って負担をすべきだという話をしたい」と述べ、国に在外被爆者への医療費支給ができる新制度を求めていく考えを示した。既に維新国会議員団に法改正の作業に入るよう指示したという。
松井氏は判決翌日の25日に「早く解決したい」との意向を示していた。原告代理人の永嶋靖久弁護士は「国を説得して控訴を断念し、一日も早く在外被爆者に医療費を支給してほしい」と述べていた。
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〈在外被爆者の医療費支給訴訟〉 韓国で暮らす在外被爆者ら3人が、被爆者援護法に基づく医療費支給の申請を認めないのは違法として、国と大阪府を相手取り、申請却下処分の取り消しなどを求めて提訴。大阪地裁は24日、「援護法に医療費支給を国内の被爆者に限定する規定はない」と申請を認める判断をした。同様の訴訟は広島、長崎地裁でも係争中。
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朝日新聞社会部
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