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フル規格新幹線へ再始動 山形県、県民運動に着手
 | 山形市内の踏切を通過する山形新幹線。在来線を使うミニ新幹線でなく、フル規格の奥羽新幹線の実現を目指す動きが活発化する |
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山形県が、フル規格の「奥羽新幹線」(福島−秋田間)「羽越新幹線」(富山−青森間)の実現を目指し、再び動きを活発化させている。1973年の基本計画決定から丸40年、全く進展のない凍結状態の構想だが、東日本大震災で日本海側交通軸の重要性が見直され、県は「状況は変わった」とみる。太平洋側を走る東北新幹線の高速化が進み、山形が「近くて遠い場所」となることへの危機感もにじむ。(山形総局・長谷美龍蔵)
<経済効果をPR>
県は本年度、新幹線推進県民運動事業に取り組む。各界若手との意見交換や講演会開催、広報媒体を使った情報発信により、新幹線の経済効果などをPRする。県民機運を盛り上げるネットワーク組織も発足させる。
新幹線は基本計画が整備計画に昇格すると、着工に結び付く。県は当面、整備計画の前段階となる国の調査開始を目標に据え、地元のムードづくりから始めた。
2005年に途絶えた国への要望活動も昨年から再開した。吉村美栄子知事はことし1月の知事選で「新幹線整備」を2期目の公約に掲げ、不退転の決意を表明した。
奥羽、羽越新幹線は基本計画の決定以来、手付かずの状態が続く。山形では先行して1992年にミニ新幹線方式を採用し、山形新幹線が福島−山形間で開業した。
東日本大震災では東北新幹線が約1カ月半運休。高速交通網の多重化が教訓となり、日本海側の重要性が再認識された。県は「フルの新幹線が欲しいと言える環境になった」(交通政策課)と追い風を感じ取った。
県によると、72年までに基本計画が決定した東海道、山陽、東北、上越、北海道、北陸、九州の7新幹線は既に全線開業したか、ほぼ全線で着工が決まっている。
翌73年の計画決定は奥羽、羽越、中国横断、四国、東九州など11路線。このうち、27年開業を目指すリニア中央新幹線は、14年度着工が濃厚だ。県は「いよいよ奥羽、羽越の番か」(同課)と期待を膨らませる。
<青森と大差なし>
山形県がフル規格に固執するのは東北の「格差」への危機感がある。
東北新幹線が3月、国内最高時速の320キロ運転を開始。約714キロ離れた東京−新青森間が最短2時間59分で結ばれ、山形新幹線東京−新庄間(約421キロ)の最短3時間11分を追い抜いた。
同じミニ新幹線の秋田新幹線もE6系車両の導入で、東京−盛岡間の高速化が図られ、東京−秋田間(約663キロ)は最短3時間45分となった。
県の分析によると、山形の年間交流人口は首都圏から離れた青森、岩手と大差がなく「移動時間の長さが頭打ちの要因」(同課)という。フル規格の奥羽新幹線が実現すれば、所要時間は30分程度短縮すると試算する。
国土交通省は奥羽、羽越新幹線の整備計画策定に関し「動きはない」と明言する。「今後しばらくは(九州など)整備新幹線の建設工事が続く。新たな整備に乗り出すのは困難ではないか」(幹線鉄道課)と指摘する。
県交通政策課は「フル規格の新幹線が通った地域が、大きく発展しているのは紛れもない事実。今すぐ実現する話ではないが、今から動きださなければ出遅れてしまう」と理解を求めている。
[奥羽新幹線]福島市を起点に山形市を経由し、秋田市に到達する約270キロのフル規格新幹線。基本計画は1973年に決定された。並行在来線の奥羽線福島−新庄間、大曲−秋田間にはミニ新幹線方式で山形新幹線、秋田新幹線が開業したが、奥羽新幹線の基本計画は消えていない。
羽越新幹線 富山市を起点に新潟市や秋田市を経由し、青森市に到達する約560キロのフル規格新幹線。基本計画は73年に決定された。新潟以西では上越、北陸新幹線と一部区間が重なる。
2013年10月28日月曜日
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