日本統治時代の「慰安婦」問題をこじらせている理由の1つに韓国メディアの極端な報道姿勢があることは以前から指摘されてきた。特に最近、具体的な証拠をもって検証するという姿勢は消えうせ、これまで以上に一方的な思い込みや元慰安婦・反日団体の主張を垂れ流して問題の拡大再生産を続ける。韓国メディアが伝えた“証言”や“情報”を詳細に見ると、おかしなことに気づく。(ソウル 加藤達也)
■「日本右翼が死を待つ人々」
朝鮮日報(電子版)は8月17日、「日本の右翼が一日も早く死ぬのを待っている人々がいる。旧日本軍の従軍慰安婦の被害者だったおばあさんたちだ」と始まる記事を掲載した。
記事によると、元慰安婦の女性らは、日本側が「組織的かつ暴力的な慰安婦動員の証拠を出さない中」での、「日本の過去の蛮行を詳細に明らかにした証言者だ」と主張する。
そして「日帝(日本帝国)統治からの解放から63年の長い歳月を経て、推定10万人あまりいた元慰安婦の数は(8月13日)現在、57人に減った」としている。
問題は「10万人」という数字だ。
最近では「20万人が性奴隷となった」などと喧伝(けんでん)され、一人歩きする数字の典型例となっているが、これにしても出所不明、根拠不明瞭この上ない数字だ。
朝鮮人慰安婦の数をめぐっては、確定した数字はない。歴史研究者による調査・分析の結果から推定したものが根拠となることが多い一方で、政治家ら一定の発言力がある人物が発信した出所不詳の数字が検証されずに伝えられたものまであるのが実態だ。
科学的な根拠から事実関係究明しようとしてきたが、研究者によって推定には開きがある。
韓国メディアはこうした「過去の事実」については一切「直視」しようとしていない。