◇マスターズGCレディース<最終日>
▽27日、兵庫県・マスターズGC(6445ヤード、パー72)▽晴れ、気温17・3度、風速5・2メートル▽賞金総額1億4000万円、優勝2520万円(54ホール競技に短縮のため賞金ランク加算は75パーセントに減額)▽51選手▽観衆7841人
2位に5打差をつけていた横峯さくら(27)=エプソン=が、4バーディー、3ボギーの71で回り、通算12アンダーにして、逃げ切りで今季3勝目を飾った。ツアー通算21勝目。今季獲得賞金額を3年ぶりに1億円の大台に乗せ、これで賞金ランクトップの森田理香子(23)=リコー=とは379万2001円差となった。
5打差の大量リードを持って、単独首位でスタートした最終日。周囲から「勝って当たり前」と見られる状況は、さくら本人にとってはプレッシャーだったはずだ。
「きょうは朝から18ホール、ずっと緊張したままプレーしてました」。5番でボギー先行。「そこまで全然パットのタッチが合ってなくて。ヘッドアップもしてたし、少しも自分のゴルフができてないと思った」と気合を入れ直した。
6番で残り150ヤード、8番アイアンでの第2打をピンそば1メートル弱につけスコアを戻すと、7番でも2メートルにつけ連続バーディー。後半13番をボギーとし、ほんの一時アン・ソンジュに2打差に迫られたが「いつもなら『わ〜、2打差だ。あと4ホールしかない』ってなるところだったけれど、きょうは『まだ2打ある』と思えた」という。狙いを定めていたかのように15番パー5で5メートルのバーディーパットを沈めると、16番でも3メートルを決め、勝利を揺るぎないものにした。
18歳でプロデビューしたさくらも、12月の誕生日が来ればもう28。「去年の夏から週一で整体に通ってます。初めて行った時、すごく体が曲がってるって言われて衝撃だった。自分も年をとっていってるのかなって思いますね」。ツアーでも「さくらちゃん」より「さくらさん」と呼ばれることが多くなった。
「今の私は、賞金女王は若い子に任せればいいかなと思ってる。私は自分のスタイルでやっていけばって」と本音で話した。だが、一度女王になったさくらだからこそ思う、別の本音がある。「1回目は運や実力以上のもの、勢いに乗って取れる時がある。2回取れたら、それこそ本当の本物だと思います」
380万円差で突入する、ラスト5試合。ツアーは何が起こるかわからない。それは4年前、最終戦の優勝で奇跡の逆転賞金女王に輝いた本人が、誰よりも知っている。 (月橋文美)
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