宮城のニュース
宮城・南三陸町長に佐藤氏3選 新人小野寺氏に1087票差
 | 3選を果たし支持者と握手を交わす佐藤仁氏(右)=27日午後10時10分ごろ、南三陸町志津川の事務所 |
|
任期満了に伴う宮城県南三陸町長選は27日投票が行われ、即日開票の結果、無所属現職の佐藤仁氏(61)が、無所属新人で元町歌津総合支所長の小野寺寛氏(65)を1087票差で破り、3選を果たした。
午後10時5分すぎ、佐藤氏3選の連絡が入ると、同町志津川の事務所は歓声で沸き立った。約100人の支持者を前に、佐藤氏は「復興の流れを変えない。住民の切実な思いを感じた。知事と連携し、新しい町をつくる」と決意を述べた。
佐藤氏は、震災復興計画の着実な推進を公約に掲げた。選挙期間中は村井嘉浩知事や周辺市町の首長の応援も受け、国や県とのパイプの太さをアピールした。
小野寺氏は、高台移転の促進や第1次産業の振興を重点公約に据え、復興を加速させるためには変化が必要だと訴えた。復興施策に不満を持つ層を取り込もうとしたが、浸透しなかった。
当日の有権者は1万2300人。投票率は78.12%で、前回(2009年)を3.83ポイント下回り、合併後3回の選挙で最低だった。
◎早期復興へ「安定」選択
【解説】復興の在り方が争点となった震災後初の南三陸町長選は、「継続」を訴えた現職の佐藤仁氏(61)が、「刷新」を掲げた新人の小野寺寛氏(65)を振り切り、3選を果たした。
両氏の訴えは、高台移転の加速や産業振興、医療・福祉・教育の充実など共通点が多かった。政策面で明確な違いは見られず、復興の旗振り役にどちらがふさわしいかという人物本位の選択となった。
佐藤氏は、村井嘉浩知事や地元選出衆院議員の小野寺五典防衛相との親密さをアピールし、県や国との連携の重要性を説いた。陣営の合言葉は「復興の流れを変えるな」で、トップ交代のリスクを印象付けた。復興の長期化を恐れる町民は「変化」ではなく、「安定」を選んだと言える。
震災で町は住宅の約6割が流失し、中心市街地を失った。人口は震災前の1万7666から1万4814(9月30日現在)に減少。がれきこそ消えたが、新しい街並みは形成されていない。
3期目のテーマは本格復興の実現に尽きる。計画によると、今後4年間は高台移転地の完成や市街地の開発、公共施設の整備など「町開き」の最盛期を迎える。大幅な遅れは町民の心を折りかねない。
復興が進めば、58カ所ある仮設住宅の集約が課題に浮上する。町の高齢化率は29.9%で、県内35市町村中9位と低くはない。高台移転にも近い将来の限界集落化を招かない配慮が求められる。
盟友と呼ぶ村井知事は3選を決め、小野寺防衛相は安倍政権で重要な位置に立つ。強調してきたパイプの太さが当然生きるはずだと町民は思っている。ゼロからの町づくりだけに責任はより重い。(南三陸支局・中島剛)
◇南三陸町長選開票結果(選管最終)
当 5,308 佐藤仁 無現(3)
4,221 小野寺寛 無新
2013年10月28日月曜日
- Ads by Google
- 宮城

△先頭に戻る