台風被害、国試算を嘉田知事が批判 「支川の逆流を無視」
滋賀県の嘉田由紀子知事は22日の定例会見で、台風18号による大戸川流域の浸水被害に関し、国土交通省大戸川ダム工事事務所(大津市)が、ダムがあれば浸水被害を減らせたとする試算結果を出したことについて、「データには極めて大きな問題がある。根拠の開示を求めている」と批判した。
同事務所の試算では、ダムが整備されていれば、約670万立方メートルの水をダムに貯水でき、下流への流量を低減できるとし、大戸川の水があふれて起きた浸水被害は86ヘクタールから7ヘクタールに9割減、浸水戸数は60戸から17戸に7割減らせたと推定した。
これに対して嘉田知事は、浸水被害が大きかった下流の石居(いしずえ)橋(大津市)周辺について、「現場は(支川の)古川の逆流で被害が集中した。ダムができても逆流は起こるのに、(試算は)古川の逆流による浸水被害を無視している」と指摘。国が2007年に、大戸川ダムができても大雨で石居橋付近では浸水被害が出ると試算した結果を示し、「国はデータを軽く扱っている」と批判した。
大戸川ダム工事事務所は「試算は台風18号の後、問い合わせが多かったのでまとめた。大戸川そのものの越水についての試算であり、支川は含まない前提の資料になっている」と説明している。
【 2013年10月22日 23時20分 】