道北・オホーツク
足尾鉱毒事件で入植、佐呂間・栃木地区 移住者の子孫ら、栃木県を訪問「後世に残す」
(10/24 16:00)
谷中村跡地周辺を見学する佐呂間町の訪問団
【佐呂間】明治中期の足尾鉱毒事件によって、栃木県を追われた人々が入植した町内の「栃木地区」の住民らが今月中旬、同県佐野市を訪れた。佐野は足尾鉱毒事件に半生をささげた田中正造(1841〜1913年)の出身地。田中の没後100年記念事業に参加して交流を図るとともに、両地域を結ぶ歴史を再認識した。
足尾鉱毒事件は、栃木県の足尾銅山の廃液が渡良瀬川流域の4県の土地を汚染した公害事件。1911年(明治44年)、鉱毒処理の遊水地を作るため同県谷中村(現・栃木市)が廃村とされ、谷中村などから66世帯約240人が県のあっせんで佐呂間に移った。
数年後にも32世帯が入植。多くはその後、土地を離れたが、現在、栃木地区に暮らす22世帯約90人のうち4世帯は移住者の家系だ。
今回の訪問団は、共に栃木県からの移住3代目の千葉清美さん(80)、阿部信夫さん(76)ら栃木地区住民5人と町職員の計7人。
11〜13日に訪れた佐野市では渡良瀬遊水地や、千葉さんと阿部さんの先々代が住んでいた地域などを見学した。佐呂間から栃木に戻った人々や岡部正英・佐野市長らとの懇談も行ったほか、田中の葬列を再現したパレードにも加わった。
一行は17日、町役場に川根章夫町長を訪ねて、訪問の様子を報告。訪問団を代表して遠藤豊さん(55)が「谷中は十勝平野みたいで、あんなに広い場所とは思わなかった。言葉では言い表せない体験だった」と振り返った。川根町長は「皆さんの目で見たことを子供や孫に継承してほしい。行っていただいた皆さんに感謝したい」と述べた。
千葉さんは「5代、6代と続けて栃木地区を後世に残していく決意を持っていることを(現地で)申し上げてきた。先祖の開いた土地を荒らさず、立派に耕作していくことで(入植した)初代の人たちは喜ぶ」と語った。
同行した武田温友(はるとも)・町企画財政課長は「人の交流を肌で感じ、絆の大切さを身にしみて感じた。栃木地区だけでなく、佐呂間全体のまちづくりに生かしたい」としている。
また、岡部市長から姉妹都市提携の提案もあったといい、川根町長は「皆さんの意向を聞きながら判断したい」と述べた。(渡辺史哉)
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