帝人が検査した布団の素材の断面写真。ポリティ(青点)は28%で、別の2種類のポリエステル(赤点)が72%だった=帝人提供 |
【高田英】寝具大手「京都西川」(京都市)が「吸汗・速乾性」をうたって2010年から販売した布団で、詰め物に使う特殊素材の量が規格より著しく少ない商品が流通していた。朝日新聞の調べでわかった。この特殊素材を開発した繊維大手「帝人」(大阪市)との間では、詰め物に100%使用する取り決めになっていたが、30%しか含まれず、別の素材が混入していた。
京都西川、比率低いのに「綿50%」京都西川は取材に対し、「製造委託した一部の工場で、指示した規格とは違う商品が作られていた。お客様には大変申し訳なく、厳粛に受け止めたい」と回答。規格外の商品が作られた時期が特定できないとして、この工場で製造した約8万2千枚すべてを回収、交換する。30日から同社のホームページなどで告知する。
問題の商品は、特殊素材「ポリティ」を詰め物にした「吸汗ポリエステルわた入り敷布団・掛け布団」。ポリティは断面が円形の筒状構造で、通常のポリエステルより吸汗性や速乾性が高い。下げ札には「帝人が素材提供、京都西川が製造販売元」などと併記され、「汗などの水分を吸い取り、すばやく乾く」とうたっていた。
ところが、朝日新聞が今年7月、この下げ札のついた掛け布団を購入し、帝人に検査を依頼したところ、ポリティは28%しか含まれず、残りは別のポリエステル2種類が使われていた。指摘を受けて京都西川も検査したところ、製造委託した国内5工場のうち1工場で製造した商品から、ポリティが25〜30%の布団が見つかった。
京都西川は10年7月から今年6月にかけて、この工場で製造した布団計8万2447枚を全国の大手スーパーなどに販売。店頭価格は4千〜8千円だった。
同社は「工場側には100%で製造するよう伝えていた。異なる素材が混ぜられているとは知らなかった」と説明。一方で、布団の品質については「吸水性の検査では、ポリティ30%は100%より劣ったが、0%よりは高く、機能性は確認できている」との見解を示した。
一方、帝人は取材に「100%と30%では差があり、30%では性能や機能を保証できない。極めて遺憾だ。責任の所在が見極められた段階で適切に対応したい」と答えている。
京都西川は戦前、1566年創業の老舗寝具店「西川」から分かれた。同じく分かれた東京の寝具大手「西川産業」とは別会社。京都西川の商品をめぐっては、タオルケットに品質表示とは違う素材が混入していたことが判明し、同社が回収・交換を進めている。問い合わせは、京都西川お客様窓口(0120・862・210)。