大阪市営地下鉄:20円値下げ、橋下市長「民営化も確信」
毎日新聞 2013年10月25日 22時10分(最終更新 10月26日 00時07分)
大阪市営地下鉄の初乗り運賃(200円)を20円値下げすることを決めた橋下徹市長は25日、記者会見で「民営化を前提に改革を進め、ここまで来た。民営化も実現できると確信している」と述べた。民営化できなければ値下げした運賃を元に戻す方針を強調し、民営化に慎重な市議会に圧力をかけた形だ。
地下鉄運賃に関する市条例は上限を定めており、値下げは交通局長が判断できる。市交通局は28日に経営会議を開き、決定を追認する見通し。運賃は経営を左右する「交通事業者の聖域」(藤本昌信交通局長)だが、橋下市長の「政治決断」が優先されそうだ。25日にあった市の幹部会議でも、民営化の成否が見通せない情勢や値下げによる減収を懸念する声も出たが、市長は方針を変えなかった。
値下げは初乗り区間(3キロまで)のみで、2区(3〜7キロ)の運賃230円は来春、消費増税に伴って10円値上げする。民営化すれば、2区の一部区間(3〜4・5キロ)は220円に15年10月に値下げし、他区間は据え置くという。
国土交通省によると、過去に値下げした公営鉄道事業者はない。交通局は職員削減などで経営改善し、割高とされる運賃の値下げを民営化の「シンボル」とする狙いだった。しかし、議会は関連の条例案を3、5月と継続審議とし、今議会でも可決の見通しはない。議会には、市東部を走る今里筋線の延伸や市営バス路線の維持などを求める声が根強く、民営化後にこうした施策が白紙化されることを懸念している。
一方、橋下市長は25日の会見で、「民営化を時期尚早という理由がわからない」と議会を批判。「運賃値下げをやめても今里筋線を延伸すべきか議会と議論したい。こういう形で議論を進めなければいけないと判断した」と主張した。【村上尊一、重石岳史】