安倍内閣は25日、国の機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出した。同法案は秘密の指定範囲や基準があいまいで恣意(しい)的な運用の余地が残り、取材・報道の自由との線引きもわかりにくく「知る権利」を阻害するとの懸念が消えない。

 安倍晋三首相は25日の衆院本会議で「国家安全保障会議(日本版NSC)の審議をより効果的に行うためには、情報保全に関する体制が整備されることが重要だ。法案の早期成立に向けて努める」と述べ、国家安全保障会議設置法案とセットで今国会成立を目指す意向を表明した。

 法案では防衛、外交、スパイなどの特定有害活動の防止、テロ活動の防止の4分野で「漏洩(ろうえい)が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある」と行政機関の長が判断した場合、特定秘密に指定する。ただ、特定有害活動には「漏洩が我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動」を含み、情報を得るための市民活動も対象にするといった拡大解釈も可能だ。

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