両陛下 水俣病患者らと懇談10月27日 17時46分
天皇皇后両陛下は27日、熊本県水俣市を訪れ、水俣病で苦しむ患者たちのこれまでの苦労に思いを寄せられました。
両陛下は午前中、熊本市で全国豊かな海づくり大会の式典に出席したあと、午後から初めて水俣市を訪問されました。
両陛下は、まず水俣病で亡くなった人たちの慰霊碑に足を運び、白菊の花束を手向けて犠牲者の霊を慰められました。
このあと、市内の資料館で水俣病の歴史などについて説明を受け、水俣病の被害を語り部として伝えている患者や遺族らと懇談されました。
初めに、語り部の会の会長で水俣病患者の緒方正実さんが「差別や偏見を恐れて38年間症状を隠し続け、その後10年かけてようやく患者と認められました」と話しました。
これに対し、天皇陛下は「お気持ちを察するに余りあります。さまざまな思いを込めてこの年まで過ごしてこられたことに深く思いを致しています」と述べ、これまでの苦労に思いを寄せられました。
なかには、家族の多くを水俣病で失った遺族や、生まれたときから手足のしびれなどの症状に苦しんできた患者などもいて、両陛下は「語り部の活動で経験を分け合うことが大切ですね」とか、「お体は大丈夫ですか。お大事になさってください」などと、いたわりのことばをかけられていました。
これに先立ち、両陛下は、水俣病が発生した水俣湾で、海づくり大会の稚魚の放流行事に臨まれました。
水俣湾では、汚染されたヘドロを埋め立てなどで封じ込めた結果、湾の魚からは20年近く国の基準を超える水銀は検出されていないということです。
両陛下がヒラメとカサゴの稚魚を放流されると、参加者たちは豊かで美しい海づくりへの誓いを新たにした様子でした。
|
[関連ニュース] 自動検索 |
|
[関連リンク] |
|