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慰安婦報道 産経vs朝日 河野氏を国会に呼んで決着つけましょう

産経新聞 10月27日(日)11時12分配信

 産経新聞は16日付朝刊1面トップで、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年8月の河野洋平官房長官談話の根拠となった、韓国での元慰安婦とされる16人の聞き取り調査報告書について、不正確な発言や食い違いが多数あるなど、ずさんな内容だったことをスクープしました。報告書を入手したうえでの報道ですから、記事は事実で衝撃的な内容ですが、これによって「河野談話」の正当性は根底から崩れたといえます。

 河野談話は元慰安婦に心からのおわびと反省の気持ちを表明し、慰安婦の募集については強制連行の存在を示す政府資料が一切見つかっていないにもかかわらず、「官憲等が直接これに荷担したこともあった」「募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」と強制性を認定したものです。

 以降、歴代政権はこの談話を継承し、韓国だけでなく諸外国からこの問題について日本は批判され続けてきたわけですが、今回の産経新聞の報道によって談話の正当性が崩れた以上、政権は今後、継承するのかどうか、改めて問われることになるでしょう。

 産経新聞が入手した報告書を改めて説明すると、元慰安婦とされる16人への聞き取り調査の結果として、慰安婦になった理由や経緯、慰安所での体験などが記されており、そこには無理やり連れて行かされ、客を取らされるなど悲惨な境遇が描写されています。

 しかし、当時、朝鮮半島では戸籍制度が整備されていたにもかかわらず、生年月日が記載されているのは半数の8人しかおらず、出身地についても12人が不明・不詳となっています。氏名も名字だけなど不完全なものが見当たります。

 また、連れていかれた場所も大阪、熊本、台湾など、戦地ではなく一般の娼館はあっても慰安所はなかった地域で「働いた」との証言もあります。

 そもそもこの調査は証言者の人選を韓国側に任せたあくまで「聞き取り」であって、「事実確認」はしていませんでしたから、信憑(しんぴょう)性が疑われていました。その報告書自体がこれほど不正確、曖昧だったとすれば、それをもとに官房長官談話という国を代表する談話を出したことは、重大な問題だといっていいでしょう。

 産経新聞は同日付政治面で、談話作成時に事務方トップだった石原信雄元官房副長官のインタビューを掲載しました。その中で石原氏は、当時について「証言内容をチェックする時間はなかった。私は担当官の報告を聞いて判断した。紙(報告書)は見ていない。報告を聞いて心証で談話をまとめた」と証言。報告書が曖昧で不正確だったことについては「(談話の)基本がおかしくなる。もともとの証言の信憑性が揺らいでくる」と述べました。

 談話のとりまとめにあたった責任者がこう述べているのですから、産経新聞の報道で談話の新たな欠陥が明らかになったと言えます。それにしても、慰安婦問題にいつも熱心な朝日新聞、毎日新聞がなぜ、これほどの事実を報道しないのでしょうか。報告書を入手するだけの取材力がないのかもしれませんが…。

 産経新聞の報道を受けて、22日の衆院予算委員会で、日本維新の会の中田宏氏は河野談話に関する集中審議を開き、報告書の公表と、談話を発表した河野氏と作成にかかわった石原氏の参考人招致を行うよう求めました。

 ぜひ、やろうではありませんか。河野談話に賛成の党もあれば、反対の党もありますが、事実を解明することにはだれも反対する理由はないはずです。報告書も内容からいって国家機密には当たりませんから、公表してもらいましょう。そのうえで事実を明らかにし、談話を今後、どうすべきか議論すべきだと思います。

 日本は河野談話を発表したことによって、韓国をはじめ諸外国から「レイプ国家」とまで批判されてきたわけですから、国家、国民の威信にかかわる話です。国会には真相を明らかにする責務があります。

 一方、産経新聞の報道の3日前の13日、朝日新聞は1面トップで「慰安婦問題拡大を阻止 政府、東南アで調査せず」との“スクープ”を掲載するとともに、「慰安婦問題 政治の意志があれば」との社説を掲載しました。

 記事は、河野談話が出る直前の平成5年7月30日付の極秘公電の内容として、当時の武藤嘉文外相が日本政府が韓国で実施した元慰安婦とされる人物からの聞き取り調査に関連し、フィリピン、インドネシア、マレーシアにある日本大使館に対し「関心を徒(いたずら)に煽(あお)る結果となることを回避するとの観点からもできるだけ避けたい」と伝えていたというものです。

 しかし、私が記事を読んでまず思ったのは、3カ国から調査の要請があって、それを内密に拒否していたというわけではありませんから、1面トップで問題にするほどのことかということです。3カ国は政治問題化させて強硬に調査を求めていた韓国とは状況が全く違うのですから、同列に扱うのはいかがなものかと思います。

 さらに、この記事には《解説》もつけられていて、内容は3カ国のことを問題にするのではなく、韓国での聞き取り調査の方に話題を転換し、元慰安婦に対して「救済どころか、実態調査さえ行われていない」と、日本政府の対応を厳しく批判するというものでした。朝日新聞が韓国の元慰安婦の事実をそれほど知りたいのなら、なぜ、3日後の産経新聞の報道を取材して後追いしないのでしょうか。

 また、社説は「野田(佳彦)前政権と韓国の李明博前政権が昨年、旧日本軍の慰安婦問題の解決に向け話し合いを進め、政治決着の寸前までこぎ着けていたことが明らかになった。解決に向けた強い意志が指導者にあるならば、歩み寄りは可能だということがわかる」とし、「この時を逃さずに交渉を引き継ぎ、最終解決を導く話し合いを早急に始めるべきだ」と主張しました。

 さらに、社説によると、その政治決着とは「駐韓日本大使が元慰安婦に会って謝罪。それを受けて日韓首脳会談を開き、日本側が償い金などの人道的措置をとることを表明する。人道的措置の原資には、政府予算をあてる」というものだそうです。元慰安婦の強制性について事実確認が行われてもいないのに、そんな決着を行うことが果たして正しいことなのでしょうか。

 そもそも1965年の日韓基本条約には「一方の国及びその国民に対するすべての請求権であっても、1945年8月15日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする」と明記されています。つまり、この条約によって韓国と韓国国民は戦前の事案について請求する権利を放棄したのです。

 それにもかかわらず、日本の政府予算つまり国民の税金から「償い金」を出すということは、条約に反することになります。仮に政治決着させるというなら、日本国民の意思を問うたうえで、条約を改正してから行うべきでしょう。

 そして、朝日新聞の報道から3日後、産経新聞によって、元慰安婦とされる人物に対する調査の「聞き取り」の不正確さ、曖昧さが明らかになりました。私は改めて、日韓の前政権が「誤った政治決着をしなくて良かった」と思った次第です。

 朝日新聞が本当に元慰安婦について事実を明らかにしたい、問題を“決着”させたいと考えるのなら、聞き取り調査報告書の公表と、河野氏らの国会招致に賛成すべきではないでしょうか。国会、それもテレビ中継されている中で、つまり国民の目の前で正式に提起されたことですから、朝日新聞もきちんと報道し、社説で見解を示してもらいたいと思います。

 国会で報告書の公表と河野氏らの招致が実現したら、それをもとに元慰安婦への対応をどうすべきか議論しましょう。産経新聞と朝日新聞の報道のどちらが正しいのか、それこそ早期に決着させようではありませんか。(高橋昌之)

最終更新:10月27日(日)11時12分

産経新聞

 
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