放射能汚染木材:県回答を批判、高島市長「住民に説明できない」 /滋賀
毎日新聞 2013年10月26日 地方版
高島市の鴨川河口部河川敷に放置された放射能汚染木材チップ処理問題で、全量撤去を求めて高島市長と市議会議長連名で知事に出した緊急要請書(今月15日付)に対し県は25日、同市に回答書を持参した。福井正明市長は「重く受け止めると言いながら、そうした文書になっていない。矛盾点もあり、風評被害を懸念する市民に説明できない」などと強い調子で批判。県に再説明を求めた。
県から琵琶湖環境部の森野才治次長、土木交通部河川・港湾室の野崎信宏室長らが訪問、回答書を渡した。市の緊急要請は放射性チップの「現地保全でなく撤去」を求めた9月18日の知事宛て要請書を前提に、▽今年4月、空間放射線量を測定し、平常値を超えたのに放置した▽現場で保全措置とする判断の根拠▽処分法の検討−−など5項目について説明を求めた。
県の回答書は▽市の懸念解消へ最善を尽くす▽空間放射線量は異常値ではない▽放射能汚染物の湖岸に無断放置は想像できず−−などとし、全量撤去に向けた具体的な道筋を示さなかった。
これに対し福井市長は「市内の放射線量は0・03〜0・07マイクロシーベルト。0・14マイクロシーベルトがなぜ異常でないのか」「管理型処分場で処理可能としながら県内外に(同処分場が)ないとは矛盾だ」「想定外とは無責任」などと厳しい口調で批判し、追及した。
福井市長はまた、汚染チップを現場でコンクリート遮蔽(しゃへい)する方策については「受け入れられない」との考えを示したことを明らかにした。【塚原和俊】