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【滋賀】

価格か絆か 平和堂の“お膝元”彦根にイオン開店

プレオープンからにぎわいを見せるイオンタウン彦根=彦根市古沢町で

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 イオンの子会社で郊外型ショッピングセンターを展開するイオンタウン(千葉市)が26日、彦根市古沢町に複合商業施設「イオンタウン彦根」をオープンした。核店舗には食料品中心のディスカウントショップ「ザ・ビッグエクストラ彦根店」を出店。彦根市に本社を置く平和堂の“お膝元”へのイオングループ初進出に注目が集まっている。 

 「とにかく安い」「新鮮な魚や野菜もそろっている」。地元住民向けにプレオープンした二十三日、同彦根店はカートに食料品や日用雑貨を山積みにした買い物客であふれた。タマネギ、ジャガイモ、キュウリは一個七円。百グラム百円を切る精肉や鮮魚もずらり。市内の主婦(64)は「このままの価格ならぜひまた利用したい」と目を輝かせた。

 イオンタウン彦根は、国道8号沿いの高台にあり、名神高速彦根インターチェンジから車で五分。敷地約三万九千平方メートルに飲食店、アパレル、薬局など三十六店舗が軒を連ね、六百台の駐車場を確保。ヤマダ電機など既存店舗の駐車場を含めると約九百台を収容でき、年間二百五十万人の来客を目指している。

 ビッグエクストラを運営するイオンビッグ(名古屋市)の県内店舗は、ザ・ビッグエクストラ野洲店(野洲市)とザ・ビッグ高月店(長浜市)に続いて三カ所目。一般的なスーパーに比べ、一〜二割価格を下げている。

 イオンビッグの鈴木新樹社長は「単品大量陳列による低価格化と、商品の見やすさ、選びやすさが最大の売り」と強調。「地元産の食材も充実させ、住民に支持されるように努めたい」と意気込んでいる。

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 イオングループの彦根初進出に、心中穏やかでないのが平和堂だ。県内七十二店舗、彦根市内七店舗を誇る湖国の雄も「価格での競争は厳しい」(平和堂社員)と受け止める。

 だが、長年築いてきた地域との絆は強い。系列店での買い物でポイントがたまる「HOPカード」は、人口百四十万人の県内で八十二万枚を発行する浸透ぶり。今月十一日には、本社隣接の旗艦店「ビバシティ彦根」を一九九六年の開業以来初めて大型改装してオープン。豊富な品ぞろえと関連商品を集約した買い物のしやすさを実現させ、店内は連日活気に満ちている。

 ビバシティ彦根の冨岡勇夫支配人は「地域に密着した商売をしていく」と話す。平和堂広報担当も「お客さまからの信頼をさらに向上させ、安さばかりでなく安心して楽しく買い物できるようにしたい」と消費者の満足を第一に掲げる。

 イオンタウン出店による国道8号の慢性的な渋滞を心配する声も多いが、地域住民の選択の幅が広がる点は歓迎できる。消費者が両社のセールスポイントを理解すると同時に、購買意欲を駆り立てられるような活発な商戦に期待したい。

(辻井勇太)

 

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