【独占インタビュー90分】小泉今日子わがアイドル時代、そして『あまちゃん』のことを語る取材・文:一志治夫

2013年09月21日(土) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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 でも私は、人との出会いが面白くって、自然とそうじゃない方向に向かっていったんですよね。3人姉妹の末っ子なので、姉たちが興味を持っているものに、追いつきたいという気持ちもあったんじゃないですか。周囲の大人から、母親からさえ、大人っぽいって言われていたし、今で言ったら、サブカルチャーみたいなのに早く目覚めていたところはあったんです」

 小泉がはっきりとアイドル路線から離れ始めるのは、30歳前後からだ。それまでも、歌と映画、ドラマは並行してやっていたが、軸足をより女優の方に移した。実際'90年代後半に入ると、シングルの発売間隔は開き始める。一方で、'97年からは、舞台出演を始め、その後もコンスタントに立ち続けていくのである。

「30歳ぐらいのときに、『人を喜ばせたい』が自分の中で『驚かせたい』に変わっていって、でも、その後、驚かせることにも息切れするなあ、と感じるようになっていきました。やっぱり、自分の感性もズレて、30代になれば10代の子の気持ちとかわからなくなっていくじゃないですか。まあ、結婚もしたし。

 そんな状況になったときに、一回土台を女優に移すという気持ちでやってみよう、と。それで脇役から何から、色々とやらせてもらおうという小さなキャンペーンをマネージャーと一緒にやって、それが40代を迎えてまたひとつの形になったという感じはあります」

 いまや、小泉のスケジュールから舞台出演が消えることはない。

「私は劇団出ているわけじゃないし、演劇学校に行ったわけじゃないし、舞台に出させてもらっているのは、やりながら学校に行っている感じですね。フィードバックがちゃんと感じられる。

 でも、舞台に関しては、まだ何か自分がどこにも行けてない、コンサートや映画で感じたような何かがまだ来てない。そして、それが何かわからないから悔しいんです」

 この10年、コンスタントに舞台に出演している。今年も7月からはこまつ座の『頭痛肩こり樋口一葉』で一葉を2ヵ月近くにわたって演じ、11月には岩松了演出の『シダの群れ3 港の女歌手編』が控えている。大規模な舞台は、劇場を押さえる関係で、3年ぐらい前から公演が決まることも多いのだという。その段階では演出家の名とあらすじ程度しか決まっていない。脚本を見ないうちからの仕事の選択は難しくないのか。

「宮藤さん、岩松さんに関しては、私自身が彼らのファンなんです。彼らのつくるものを私が好きなので、呼んでくれたら単純に嬉しい。一度お仕事をした人がまた呼んでくれるのは、私を必要と思ってくれたんだなと思えるからよけい嬉しいですね。初めての人との仕事のときは、プロットとか、共演者の人がどう考えているのかとかを見ます。それとプロデューサーやディレクターに会って、この人は好きかとか、クリーンな人だな、と思えるかどうかで判断しています」

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