【独占インタビュー90分】小泉今日子わがアイドル時代、そして『あまちゃん』のことを語る取材・文:一志治夫

2013年09月21日(土) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

upperline

「どの時代もつくっている方々は真面目に一生懸命つくっていたつもりなんだろうけど、どこかで視聴率のための番組づくりっていうのを計算しすぎて、つまらない内容にしちゃったんですよね。たとえば、全部データを出してきて、F1、F2層の視聴傾向はどうだとかをやり過ぎちゃって、つくり手自身が、人に感動を与えることとか、一緒に笑うこととか、そういうテレビのよさを一度見失ってしまってた気がする。でも、少し前はそういう時代だったんでしょう。そういう意味では、今またテレビの人も何か新しく始めよう、となったのかなあって」

 小泉は、'82年に『私の16才』でデビューして以来、アイドルの王道を走り続けてきた。今もどこかに"キョンキョン"の面影を残しているような気さえする。

『あまちゃん』の中で、青春時代の天野春子がデビューをめぐって世の中のしがらみと戦っていたのは、'84年という設定だ。小泉年表で言えば、18歳。『渚のはいから人魚』『ヤマトナデシコ七変化』とヒットを連発し、映画『生徒諸君!』に主演、年末には初めて紅白に出場した年でもあった。

 そんな自分自身がどこかでダブったのだろう、『あまちゃん』では、演じながら、あるいは、能年玲奈演じる天野アキを母親の目線で見ながら、少々混乱をきたしたのだという。

「不思議な気持ちにさせられる脚本だったんです。春子はアイドルになれなかったけれども、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は国民的女優になってて、娘役のアキが自分と同じ道を目指して奮闘する。私の過去ってどれなんだっけ、とか、何かいろんなことを思い出していたんですね。能年ちゃんを見ていて、ああ、私も大人と喋るのは苦手だったな、とか。もし私がアイドルにならなかったら、子どもがいて、こんな感じだったのかな、とか。宮藤さんは、当て書き(役者の個性に合わせて書く脚本)感が強いから、どこまでが自分なのかわからなくなるようなおもしろさがあったんです」

なぜギャラに興味がないのか

 そんな小泉今日子にとって、実際にアイドルというものが遠ざかっていったのは、いつのことだったのか。

「年を重ねて経験も増えていって、女優の仕事もいつも並行してやっていたし。そうすると、オファーされる役が、誰かの妹、誰かの娘みたいな役から、学校の先生になったり、OLになったりしていくわけです。

 アイドルをずっと奇跡的にできている人というのもいると思う。たとえば、イメージを崩さないまま、ファンの人の期待に応え続けていく、松田聖子さんみたいなタイプの方も必ずいるんです。

previous page
3
nextpage


最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
昨日のランキング
直近1時間のランキング
編集部お薦め記事
最新記事