「どの時代もつくっている方々は真面目に一生懸命つくっていたつもりなんだろうけど、どこかで視聴率のための番組づくりっていうのを計算しすぎて、つまらない内容にしちゃったんですよね。たとえば、全部データを出してきて、F1、F2層の視聴傾向はどうだとかをやり過ぎちゃって、つくり手自身が、人に感動を与えることとか、一緒に笑うこととか、そういうテレビのよさを一度見失ってしまってた気がする。でも、少し前はそういう時代だったんでしょう。そういう意味では、今またテレビの人も何か新しく始めよう、となったのかなあって」
小泉は、'82年に『私の16才』でデビューして以来、アイドルの王道を走り続けてきた。今もどこかに"キョンキョン"の面影を残しているような気さえする。
『あまちゃん』の中で、青春時代の天野春子がデビューをめぐって世の中のしがらみと戦っていたのは、'84年という設定だ。小泉年表で言えば、18歳。『渚のはいから人魚』『ヤマトナデシコ七変化』とヒットを連発し、映画『生徒諸君!』に主演、年末には初めて紅白に出場した年でもあった。
そんな自分自身がどこかでダブったのだろう、『あまちゃん』では、演じながら、あるいは、能年玲奈演じる天野アキを母親の目線で見ながら、少々混乱をきたしたのだという。
「不思議な気持ちにさせられる脚本だったんです。春子はアイドルになれなかったけれども、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は国民的女優になってて、娘役のアキが自分と同じ道を目指して奮闘する。私の過去ってどれなんだっけ、とか、何かいろんなことを思い出していたんですね。能年ちゃんを見ていて、ああ、私も大人と喋るのは苦手だったな、とか。もし私がアイドルにならなかったら、子どもがいて、こんな感じだったのかな、とか。宮藤さんは、当て書き(役者の個性に合わせて書く脚本)感が強いから、どこまでが自分なのかわからなくなるようなおもしろさがあったんです」
なぜギャラに興味がないのか
そんな小泉今日子にとって、実際にアイドルというものが遠ざかっていったのは、いつのことだったのか。
「年を重ねて経験も増えていって、女優の仕事もいつも並行してやっていたし。そうすると、オファーされる役が、誰かの妹、誰かの娘みたいな役から、学校の先生になったり、OLになったりしていくわけです。
アイドルをずっと奇跡的にできている人というのもいると思う。たとえば、イメージを崩さないまま、ファンの人の期待に応え続けていく、松田聖子さんみたいなタイプの方も必ずいるんです。
- 特別読み物 サラリーマン本当にあった「友情物語」あなたにはいますか?本当に信用できる「同期入社」 (2013.10.22)
- 国民的大論争 津波で失われた5人の生命 幼稚園に巨額賠償(1億7660万円)の判決は正しいのか (2013.10.18)
- 2020年東京五輪 新国立競技場 どう考えてもいまのデザインは無理でしょ!原発汚染水よりもっとヤバい問題かも (2013.10.17)
- 福島第一原発作業員の「潜入マンガ」が訴えること (2013.10.12)
- いま、日本で最高の役者かも 何でも面白くしちゃう香川照之(大和田常務)という男、その内実 (2013.10.11)
- 本誌謹製 NHK連ドラ『あまちゃん』読むと100倍楽しめる完全ガイド 人間関係がひとめで分かる人物相関図付き (2013.06.11)
- 朝ドラ『あまちゃん』番組スタッフが明かす面白すぎる「東京編」のロケ現場 (2013.07.02)
- NHK『あまちゃん』に出演する小泉今日子を見て思うこと ほぼノーメークで素顔をさらすキョンキョンすごい覚悟だけど、ちょっと寂しい (2013.05.04)
- 1980年代の日本はこんなに面白かった! アイドル小泉今日子が生まれた時代 (2013.07.11)
- 面白すぎる!出演者、番組スタッフが舞台ウラを明かすNHK『あまちゃん』、どうやって作っているのか (2013.06.06)
-
経済の死角みずほ激震「ヤクザと銀行」元暴力団担当行員の告白 (2013.10.26)
-
歳川隆雄「ニュースの深層」安倍晋三・岸信夫兄弟が「平成の岸信介・佐藤栄作兄弟」になる日 (2013.10.26)
-
堀義人「100の行動」【厚生労働 その6】 iPS細胞等の最先端医療技術で世界をリードせよ! (2013.10.26)
-
-