蓼科滞在中にイベントを知り、参加したという横浜市の植松修三さん(76)は「若い頃は小津映画をよく見た。参加者みなで50年以上前をなつかしむのもいい」と満足げだ。蓼科観光協会は昨年から定期的にこうしたイベントを開催している。
北原さんは「蓼科日記」の編集メンバーであり、遺族からの刊行の了解を取り付けた人物でもある。案内が可能になったのも、「蓼科日記」刊行作業の副産物だ。
とにかく散歩と酒の生活を送っていた小津の日記解読のために、たどったコースを北原さんが野田の娘である山内玲子さん(故人)から聞き取り、いくつかを確定した。高台にある「一本桜」を目指すロングコースは2人が脚本づくりに行き詰まったときに選ぶ道だったという。
地元の茅野市は今年7月に「小津の散歩道」に10カ所の案内板を設置、案内パンフレットも作製した。
■笠智衆の山荘も
長く使われていなかった笠智衆の山荘も地元有志によって掃除され、いつでも使えるように整備された。7月下旬に地元関係者向けに長女の川西成子さんが思い出を語る催しを開いたほか、「映画祭などイベントの際に活用する了解を得た」(茅野市観光課)という。
「小津さんには根強いファンがいると改めて感じた。映画そのものだけでなく、これが蓼科の魅力発信につながればいい」と茅野市の柳平千代一市長は話す。長野県の観光統計によると、12年の蓼科の観光客数は延べ139万人で、10年前に比べて4分の3の水準にある。
中井さんも「(別荘のプールが多いことから名付けられた)プール平という地名なのに、プールが今やない。日本のスイスになりうるのに」と嘆いた。世界的にも高く評価される小津映画の構想の場となったという事実は、蓼科に再び人を呼ぶための大きな武器となるはずだ。(松本支局長 長沼俊洋)
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