「元来は(都会的で)こういうところにいられる人じゃないんだが、なぜか蓼科が気に入ってしまった」と山内氏は話す。
小津と野田の蓼科での生活が脚光を浴びるのは、今夏に「蓼科日記 抄」が刊行されたことが大きい。2人は「雲呼荘」で共同生活をしながら映画を構想した。この「蓼科日記 抄」はもともとこの「雲呼荘」に備え付けられていた18冊のノートであり、野田と小津のほかにも訪れた客は皆が何かを書き込まなくてはいけない雑記帳とされていた。
とにかくよく歩き、よく酒を飲んだ2人の生活が日記から伝わる。「細かく書く野田に比べ、小津の文章はふざけて楽しんでいる。対比が面白い」と編集作業にあたった照井康夫さんは話す。
日記によく登場するのが、「ダイヤ菊」という地元の日本酒だ。2人で一升瓶100本が映画1本完成の目安だったとも言われ、俳優・笠智衆は自らの回想録に空き瓶が並んださまを「なんやら、酒屋さんの裏みたいだなあ」と書き残している。
■「小津の散歩道」を確定
小津と野田は、自らが気に入った蓼科に、佐田のほかにも多くの映画関係者をそばに呼び寄せた。このため周辺には笠智衆や映画監督の新藤兼人、井上和男といったそうそうたる映画関係者の山荘が集まり、日本映画の黄金期に思いを寄せるのにふさわしい場所となった。
こうした立地を観光に生かそうとする取り組みが地元で始まっている。
「ここに来た小津は『眺望甚だ絶佳』と書いています。ここで『早春』というタイトルも決まりました」。丘に立つ大きな桜のそばで、案内役の映像プロデューサー、北原克彦さんの話に皆が熱心に聞き入る。7月下旬、約30人が参加した「小津の散歩道」を歩くイベントでのひとこまだ。
小津安二郎、中井貴一、佐田啓二、映画、蓼科日記、新藤兼人、映画監督、長野県
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