捜査当局の調べでは、制御ケーブルなど原発部品の納入前に製造会社と2機関の関係者7人が集う「7人会議」で納品の是非が決められていたという。この会議を取り仕切っていたのが納入側の韓水原の担当部長だったとされる。
制御ケーブルについては、試験会社が2008年1月、カナダの試験機関に性能テストを依頼し、一部しか合格判定が出なかったが、不合格部分の性能を示すグラフを書き換え、成績証明書を提出。承認機関がすぐに承認し、書類提出からわずか10日間で納品された。
証明書について担当者から「問題がある」との指摘があったが、韓水原の部長らは「そのまま承認しろ」と指示したともされる。
韓水原関係者は当初、「私たちも問題を告発した被害者の立場だ」と韓国メディアに述べていた。だが、収賄容疑で元社長まで逮捕されるに至り、実際は“主犯格”といえる立場にあったことが浮き彫りになった。
原発部品の書類改竄は、いまに始まったことではない。昨年にも納品会社から賄賂を受け取るなど不正に関与したとして、韓水原の役員ら20人超が摘発され、監査院の監査で、過去10年間に原発部品約1万4000個の性能証明書が偽造されていたことが判明した。
今回の書類偽造では検査や承認すべき機関がぐるになっていたため、内部告発があるまで容易に発覚しなかった。まさに“ミイラ取りがミイラになる”「原発マフィア」の腐敗構造の根深さを物語っている。
■コピー用紙の箱に2億ウォン 宅配で賄賂受け取りも
韓水原関係者の賄賂授受についても開いた口が塞がらない実態を韓国メディアが伝えている。
不正の中心人物と目される韓水原の部長は、現代重工業からカネを受け取る際、コーヒー店でA4用紙2500枚が入った箱を手渡された。中には、五万ウォン札2億ウォン(約1800万円)分が詰め込まれていたという。韓国電力公社の本社ロビーという公の場で堂々と受け取ることもあったとされる。
駅や駐車場で業者から金品を受け取る職員もいれば、宅配サービスを使った賄賂の授受も行われていたという。