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かぜ予防にネット活用 進化する流行予測
10月20日 8時29分

かぜ予防にネット活用 進化する流行予測
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気温の変化が大きく体調を崩しやすいこの時期。かぜやインフルエンザが自分の周りでどのくらいはやっているのか、もっと早く詳しく知りたいと思いませんか。
今、インターネット上の膨大な情報「ビッグデータ」を使って、そんな情報をいち早く伝えようという新たなサービスが相次いで登場しています。

はやっているのはどんなかぜ

Twitterのつぶやきからかぜの流行を分析するのが「カゼミル+(プラス)」というサービスです。
http://kazemiru.jp/(NHKのサイトではありません)

このサイトでは、1日数万に上るつぶやきからかぜをひいている可能性の高い人を自動的に選んで、その内容を表示。過去の集計と比較して現在の流行のレベルを判断します。
さらに、気温や湿度の変化など天気予報と組み合わせることで将来の流行を予測して、カレンダーに表示します。
熱やのどの痛みなど、今どんな症状の人が多いのかを知ることができるのも特徴です。
サイトを運営する医薬品メーカー、エスエス製薬では「自分の周りで、はやっているかぜの症状を知ることで、早めの対策に役立ててもらいたい」と話しています。

流行するほど検索が増える

一方、インターネットの検索サービスに入力されることばからインフルエンザの流行をつかもうというサービスもあります。
大手検索サイトが運営する「グーグルインフルトレンド」です。
http://www.google.org/flutrends/intl/ja/jp/#JP(NHKのサイトではありません)

このサイトでは、毎日、膨大な数の利用者が健康に関する情報をオンラインで検索しています。
そこで、インフルエンザが流行すると症状や薬などインフルエンザに関する検索も増えることを利用して流行を予測しようというのです。
実際にインフルエンザについて検索する人の数とインフルエンザの症状を示す患者の数を調べたところ、密接な関連性があったということで、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」にも掲載されました。グーグルでは「少しでも早い情報を提供することで、一般の人はもちろん、医療機関がワクチンを仕入れる際の判断材料に使うなど、感染拡大防止に活用してほしい」と話しています。

流行は今どこで

インフルエンザが今どこで、どの程度流行しているのかという詳細な情報を提供しようというサービスも登場しています。
京都大学の荒牧研究室が運営するサイト「インフルくん」です。
http://mednlp.jp/influ/index.html(NHKのサイトではありません)

インフルエンザを話題にしたTwitterのつぶやきを分類。実際にインフルエンザにかかっているとみられる発言を選び出し「マスク」のマークで表示します。さらに、GPSの位置情報やプロフィールなどから都道府県単位で場所を特定。色と矢印で日本地図に表示します。
感染が広がっているような状況になると、赤やオレンジなどで注意を促すようになっています。

なぜ実際の流行と一致

インフルエンザの流行に関する情報は、国立感染症研究所などが全国およそ5000か所の医療機関を受診した患者の数を週ごとに集計して発表しています。
この結果とビッグデータを利用した予測はほとんど一致しています。なぜ医師の診断ではない予測と実際の流行が一致するのでしょうか?
一つは、インターネット上のことばを分析する技術の進歩があります。
さまざまな発言について、経験則や文脈などからコンピューターで自動的に分類する研究が進んでいるのです。
グーグルでも、実際の流行と高い相関関係がある数十の単語を組み合わせを使って分析しているということです。
もう一つは、ビッグデータが持つ特徴です。
インフルエンザに関するツイートは流行時には1日数千から1万以上。
仮に少しの誤差が含まれていても膨大なデータを集めると全体としては精度が高くなるのです。

早い情報が拡大防ぐ

公的機関が発表するインフルエンザの情報は、医療機関から受けた報告を1週間単位で集計し、翌週に発表するため、実際の流行よりも遅れることになります。
また、過疎地の場合は少数の診療所からの情報に頼ることになり、流行を把握できない地域もあります。
ソーシャルメディアなどビッグデータを利用した予測は、こうした弱点を補うことができるといいます。

「インフルくん」を運営する京都大学デザイン学ユニットの荒牧英治特定准教授は「ソーシャルメディアの浸透で多くの人が発信する大量の情報をリアルタイムに利用することができるようになっています。
こうしたビッグデータは感染症の流行を予測するのに有効で、海外ではすでに対策に利用している公的機関もあります。
流行が近づいて来たと思ったら、うがいや手洗い、マスクなどによる予防を徹底するなど役立ててもらいたい」と話しています。 
       

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