阪急阪神ホテルズ:調理担当者、レッドキャビアの偽装認識
毎日新聞 2013年10月24日 08時00分(最終更新 10月24日 08時03分)
阪急阪神ホテルズ(本社・大阪市)のメニュー偽装問題で、ホテルの調理担当者が、食材がトビウオの魚卵であると知りながら、「レッドキャビア」(マスの魚卵)と虚偽表示していたことが関係者への取材で分かった。トビウオの魚卵の価格はマスの3分の1程度だったといい、仕入れ値を安く抑える目的だった疑いもある。
担当者が虚偽表示を認識しながら放置していたケースは「芝エビ」「九条ネギ」に続き3件目で、消費者庁は景品表示法違反(優良誤認)の可能性があるとみて調べる。
同社によると、問題のメニューは大阪新阪急ホテルが会員制サロンで今年6〜7月末に販売した「クラゲのレッドキャビア添え」。7000〜8500円のパーティー料理の一品として計514食を提供した。
一般的にレッドキャビアはマスの魚卵を指す。複数の同社関係者によると、ホテルの担当シェフは当初から、食材がトビウオの魚卵(とびこ)であると知りながら仕入れ、メニューにレッドキャビアと表示。一部の調理担当者は社内調査に「とびこをレッドキャビアとして販売している業者もおり、表示しても問題ないと思っていた」と釈明しているという。
同社によると、トビウオの魚卵は1キロ約5000円で、マスの3分の1程度で取引される。関西地方の食品業者は「トビウオの魚卵は、マスの魚卵と見た目が異なり、間違えようがない。レッドキャビアと表示するなんて聞いたことがない」と驚く。
同社はこれまで、23店舗で47商品のメニューに事実と異なる表示があったと発表。このうち「芝エビ」と「九条ネギ」の2品目は、担当者が誤表示を認識していたと説明していた。芝エビの仕入れ値は1キロ2500円で、実際に使用されたバナメイエビ(1キロ1400円)とは約2倍の開きがあるが、担当者は社内調査に「バナメイエビと芝エビは大きさも同じなので、同じエビだと思っていた」と説明。九条ネギも、実際に使われた一般的なネギと約2・5倍の価格差があることが判明している。【石戸諭】