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【千葉】

焼却灰のセシウム濃度 明暗 柏、焼却方法変え低減 松戸、いぜん高濃度

分別収集した草木が山積みとなっている北部クリーンセンター=9日、柏市で

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 原発事故後、東葛の自治体を悩まし続けるごみの焼却灰問題。ここにきて柏市の灰に含まれる放射性セシウム濃度が下がり始め、民間の最終処分場への搬出を九月から再開した。一方で、依然としてセシウム濃度が下がらないのが松戸市。なぜ、明暗が分かれているのだろうか。 (三輪喜人)

 焼却灰問題をめぐっては県が手賀沼終末処理場(我孫子、印西両市)に設けた一時保管施設に、柏、松戸、流山の三市が昨年十二月から灰の搬入を始めた。一時保管するのは、通常の埋め立て処分ができない一キログラム当たり八〇〇〇ベクレルを超える灰で、各市とも保管場所がなくなってきたためだった。ただ、当初から地元住民の反対があり、三市は六月から搬入をストップせざるを得なくなっている。

 柏市では六月時点で、南部クリーンセンター(CC)で灰から最高四四八〇〇ベクレルのセシウムが検出されていた。その後セシウム濃度が下がったのは、濃度を高める主因とされる草木の焼却を、旧式炉で灰を圧縮する工程がない北部CCに集約してからだ。新型炉で灰の圧縮工程がある南部CCでは、草木の焼却を止めた。両CCの灰のセシウム濃度は一一〇〇ベクレル程度で、民間処分場の受け入れ基準といわれる四〇〇〇ベクレル以下に低減し、処分場搬出を再開できた。

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 一方、松戸市では六月以降も二カ所の焼却場のうち市クリーンセンター(CC)の焼却灰から一キログラム当たり一〇〇〇〇ベクレル超のセシウム検出が続いた。八月は七八九〇ベクレルとやや低減したがそれでも通常の埋め立て処分はできない。ただ、炉の構造が違う和名ケ谷CCの灰は、草木を燃やしても一〇〇〇ベクレルを下回っている。

 和名ケ谷CCに草木の焼却を集約してはとも思うが、できない理由を市担当者は「もし和名ケ谷でセシウム濃度が上がり、焼却がストップしたらごみ処理ができなくなる」と説明する。市CCでは三月に草木を燃やさない実験をしたが、灰のセシウム濃度は四〇〇〇ベクレル以下に下がらなかった。

 灰の保管場所の限界が迫った八月、市は手賀沼終末処理場に搬入を再開しようとした。しかし、地元住民の反対で見合わせ、今も保管を続ける。担当者は「焼却施設の改造など低減策に取り組んでいるが、すぐに結果は出ない。厳しい状況が続く」と話す。

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 手賀沼終末処理場に百七十八トンの指定廃棄物を搬入した流山市は現在、柏、松戸両市と異なり、セシウム濃度を高める主因とされる草木は燃やさずチップ化し、八月から民間の処分場で埋め立て処理している。焼却場から出る灰のセシウム濃度も一〇〇〇ベクレル前後で、民間処分場に搬出している。

 ただ、分別収集した草木はまだ焼却施設内に約七千トンある。担当者は「秋になり落ち葉の量が増える。保管場所を確保するため、今も自転車操業」と話した。

 

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